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今日もヨムよむ・ニュースの真実
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不定期(月1回〜)
内容
安田節子が、食糧問題を中心とした時事ニュースについて、大手マスコミとは一味違った切り込み方で初心者向けに解説するメールマガジン。安全で健康的な暮らしを求める人々への必須情報が満載。

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1)鳥インフルエンザ発生

■例のない同時多発

病原性の高い鳥インフルエンザ(鳥ペスト)が世界規模で発生している。さきごろオランダにも発生し、これで鶏肉の輸入停止となったのは15カ国・地域に及ぶ。過去にこのように広範な地域に同時多発した例はないという。国内では山口県、大分県、京都の養鶏場で感染が起き、大阪茨木市や京都府亀岡市のカラスの死骸からもウイルスを検出し、不安が高まっている。

■環境の悪化で野鳥の抵抗力が低下

渡りをする野鴨などの水鳥はいく種類もの鳥インフルエンザウイルスを自然保有している。しかしウイルスに対する抵抗性(免疫力)を持っているため、健康であれば発症することはない。ウイルスは環境適応しながら変異をとげていくが、新たなウイルスによって発病するものがあっても、耐病性のあるものが生き残り、自然免疫を獲得して子孫に引き継いでいく。ウイルスの海のような自然界で生物が生き延びてきたのは病原体と接触することで免疫力を高めてきたからなのだ。

しかし、WHO(世界保健機関)によれば近年アジア全域で渡り鳥の大量死が発見されているという。おそらく環境の悪化や汚染が進んだ結果、野鳥の生命力が弱まり、ウイルスへの抵抗力を落としているためではないか。

今年1月国連機関が発表した報告書によれば、2050年までに全生物種の四分の一が絶滅すると予測している。温暖化の急速な進行もあるが、環境汚染が限界値近くまで来ていると見なければならないだろう。

■鶏の群れの中で変異

鶏の大量死は低病原性のウイルスが人間に飼われている群れの中で短期間循環した後に強い病原性ウイルスに突然変異した結果と見られている。WHO(世界保健機関)によれば、米国で1983-1984年の流行時、当初低い死亡率であったのが、6ヶ月の間に強い病原性となり、90%近い死亡率を持つようになり、1,700万羽以上の鶏が殺処分された。イタリアでの1999−2001年の流行では9ヶ月以内に強い病原性に変異し、1,300万羽以上のトリが死亡ないしは処分されたという。

米国から始まった近代畜産方式は大規模生産が特徴で、養鶏農場の飼育羽数は数万単位だ。日本で感染大量死のあった浅田農産の農場は25万羽の規模だった。

タイや中国などの発生農場の映像を見るとやはり大規模、ケージ飼いである。輸出産業として鶏肉の大量生産が行われているからだ。

狭いケージでの密飼いと自然では口にしないような餌(薬漬け、共食い、廃棄物、組み換えトウモロコシなど)を与えられ、動物の生理を無視した虐待といえるような劣悪な環境で飼われている。大量密飼いの農場は得てして不衛生になりがちで、浅田農場の場合、糞や羽のこびりついたケージや鶏舎のまわりに積まれた何トンもの鶏糞の山がハエの群れを呼んでいたという。こういう環境に置かれた鶏たちが免疫力を低下させていることは想像に難くない。

■人への感染

鳥インフルエンザは直接人間に感染しにくいが、人間や豚のように鳥と人のインフルエンザの両方に感染する動物の体内でミキシングし、鳥インフルエンザウイルスが人から人への感染力をもつ「新型ウイルス」に変異する可能性がある。

現在、専門家がもっとも恐れているのは人から人へと感染する新型が出現することだ。WHOは、「新型ウイルス」がもし大流行した場合、最悪のシナリオでは死者は5億人に達し、社会崩壊の危機となると警告している。

■自然養鶏の危機

いま、野鳥からの感染を防ぐためとして外部と完全に遮断されたウインドレス鶏舎が奨励され、合鴨農法や自然養鶏に白い目を向ける風潮がでている。

しかし、野鳥との接触を完全遮断すれば感染は起きないと言えるのだろうか。ウイルスは空気中に常在し、また、体内にも保有している。それらのウイルスのどれかが免疫力の落ちた家禽の体内で、ある日、毒性のあるものに突然変異して襲いかかるということが起こり得る。ウイルスからの完全遮断など不可能なことだし、それよりも太陽や風に一生触れることなく、無菌の世界で飼うことは不健康をもたらし、さらに脆弱にするだけだと思う。

そうではなく、感染しても発病しない、免疫力を備えた健康な鶏をめざすことが唯一の根本的解決方法と思う。有機畜産、自然養鶏への転換が急がれるのだ。それなのに、放し飼いに近い環境で強健な鶏つくりを志してきた自然養鶏家たちの卵が売れなくなるところがでてきており、経営の危機に直面している。こうした流れこそ、食の非常事態ではなかろうか。

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今日もヨムよむ・ニュースの真実 (マガジンID:0000131437)

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