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モンサント、欧州から"撤退" 栽培申請を取り下げ


有機農業ニュースクリップ2013.07.20より転載

ロイターは7月17日、モンサントが欧州での栽培承認手続き中の遺伝子組み換え作物について、順次取り下げると報じた。ロイターの電話インタビューにモンサント欧州の責任者が回答したもの。

モンサントは7月18日、同社のブログにおいて、欧州からの“撤退”戦略について明らかにした。欧州では従来育種の種に注力する一方、EU域内でのGM作物の栽培をあきらめ、他の地域からEUへ輸入するというもので、EUの「タイムリーな輸入承認」が重要と指摘した。

申請したものの承認作業の滞っている5品種のトウモロコシなどのGM作物については、順次申請を取り下げるとともに、新規の申請を行わないことを明言した。 でにEU当局にもこの方針を通告したとしている。

しかし、唯一栽培が承認され、スペインなどで栽培されているGMトウモロコシMON810は販売を継続する。

GMトウモロコシの輸入は継続されているため、GM反対の運動を続けてきたグリーンピースなどは、モンサントの“撤退”を歓迎しつつも警戒を緩めていない。EU各国は年間3千万トンの飼料用トウモロコシを輸入している。

欧州での手詰まりによるモンサントの撤退は、昨年のBASFの撤退に続くもの。GM各社は中南米やアジアへの攻勢を強めることになるだろう。

安田コメント

欧州でGM栽培を広げようとのモンサント社などアグロバイオ企業の野心は阻まれ、撤退を余儀なくされている。2012年、GMコーンを生涯与えたラットの実験(仏)で大きな腫瘍の発生と高い早死率など明白な有害性が示されたことも社会的受容に影響しているだろう。

そもそも発売されて以来、GM作物を食べたい、売ってくれという国や消費者はいない。生産企業や生産国が押し売りを続けているだけだ。開発企業の実験結果鵜呑みの書類審査のみで次々と認可をし、一方安全性を調べる研究には妨害、迫害を加えて潰すことをしてきた。アグロバイオ企業と官・学・マスコミ一体の利権ムラが支配してきた。日本はそのうえ対米従属の奴隷根性が染みついてか、モンサント社受け売りの論をムラの人間たちがまき散らしてきた。しかし、いま真実を知りたいと思う人々が急激に増えている。

少数ながらも研究者の良心に従い、研究者生命を危険にさらしても安全性を調べようとする研究者がいる。彼ら、彼女らが行った実験はいずれも有害性を示している。日々口にする私たちはどちらを信用するのかは言うまでもない。

(2013/07/23)

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