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農林水産省が遺伝子組み換え作物4品の実用化のパブリックコメント募集(6月21日締め切り)


菜種とトウモロコシと綿

野外隔離圃場栽培を認めるGMナタネ1種、栽培と食用・飼料用利用を認めるGMトウモロコシ2種と同じくGM綿です。

食の安全を一層脅かし、国土汚染をもたらす実用化にストップをかけましょう! みなさん、沢山の意見を提出してください。

1.除草剤グリホサート耐性セイヨウナタネ(モンサント社)→ 隔離圃場での栽培など

2.アリルオキシアルカノエート系除草剤耐性トウモロコシ(ダウ・ケミカル社) → 栽培と食用・飼料としての使用など

3.チョウ目及びコウチュウ目害虫抵抗性並びに除草剤グルホシネート及びグリホサート耐性トウモロコシ(シンジェンタジャパン)→ 2に同じ

4.除草剤耐性ピマワタ(モンサント社) → 2に同じ

パブコメ募集に下記意見を送りました

送付意見内容

《総論》 4品目の認可凍結を求める

これまでバイオテクノロジー推進の立場に立って策定された不十分な安全性評価で、多くのGM作物が認可されてきました。しかし、実態は、遺伝子組み換え作物の安全性は不確実のままです。自然界に存在しない、組み換え構造が不安定、DNAの静止配列の異常発現や継代安定性の欠如、アレルギー性、発がん性その他の異常が報告されています。私たちが想像もつかないような影響が内在する可能性も否定できません。人や家畜への影響のみならず、微生物への水平伝播など微生物に起こる変異、また昆虫など生態系への影響、耐性害虫や耐性雑草の出現リスク、また特許種子をめぐる問題や農家の経済的影響など、まったく考慮されていません。安全性のリスクをかかえたうえ、海外の遺伝子組み換え作物を国内に入れる理由がありません。国内生産となれば、取り返しのつかない環境汚染をもたらすのみならず、特許から海外企業の支配下に置かれてしまうリスクを背負うのです。また私たちとって必要性のないものであり、このたびのGM品目は凍結すべきです。

なお、加えて、これまでに示された世界中の危険性を示す研究論文を収集、精査公表すること、そして安全性の確認ができるまでこれまで認可したものを含め遺伝子組み換え食品のモラトリアム(凍結)を求めます。

以下個別に意見を述べます

1.除草剤グリホサート耐性セイヨウナタネ→ 隔離圃場の栽培は認めてはならない

(1).野外の隔離圃場の栽培は交雑を避けられない

ナタネは他花受粉性であるため、非常に交雑しやすい。第1種使用規定で定めた交雑防止のための隔離距離は、さまざまな環境条件を考慮した科学的根拠のあるものではまったくない。隔離距離で交雑を防止することはできない。

風による花粉の飛散、蝶やハチなどによる拡散、こぼれ種によって、在来のアブラナ科の植物(野生のナタネ、カラシナ、コマツナ、キャベツ、ブロッコリーなどの栽培野菜)への遺伝子汚染、かく乱が起きる可能性が高い。遺伝子汚染が起きれば年を追うごとに再生産拡大していく。ひとたび遺伝子汚染が起きてからでは元に戻すことは不可能であり、取り返しがつかない。除草剤グリホサート耐性が広がれば、違う除草剤で対処すればいいというのが農水省の見解だが、そのような狭隘な視点からではなく、ひろくGM遺伝子に在来種が汚染されるということで、もとの遺伝子をもったものではなくなるのだ。輸入のGMナタネ種子が輸送中にこぼれ、国内での自生が広く報告されている。このような国土汚染になんの手も打たない政府がさらに隔離圃場という野外栽培を認可するのは無責任極まりない。

(2).隔離圃場での栽培は国内栽培認可のための前段階であり、この手続きを進めてはならない。国産の野菜にGM遺伝子汚染が起きれば、消費者の遺伝子組み換えを避けたいという選択権を奪うことになる。輸出側の意向にのみ配慮する姿勢はいい加減に止めてほしい。国内農業を守るためには、遺伝子汚染させないことであり、それが国内農業の優位性を保つことになる。

2.アリルオキシアルカノエート系除草剤耐性トウモロコシ → 栽培と食用、飼料としての使用を認めてはならない。

遺伝子組み換えによる安全性の不確かさに加えこの除草剤が残留するトウモロコシを人も家畜も体内摂取することになる。このようなリスクをがまんしてまで食する必要性はまったくない。

栽培について、除草剤耐性トウモロコシは特定の除草剤の使用を増大させる。新規の除草剤耐性種が次々申請されているが、初期の除草剤が効かなくなって耐性雑草が広がっているため、次から次へと新しい除草剤耐性種を開発しなければならなくなっている。複数除草剤に耐性ももつ雑草はいまや何十種類に広がり、生産を脅かしている。国内生産を脅かすもので栽培は許されない。

3.チョウ目及びコウチュウ目害虫抵抗性並びに除草剤グルホシネート及びグリホサート耐性トウモロコシ →栽培と食用、飼料としての使用を認めてはならない。

2と同じ理由に加え、本品は殺虫毒素を産生し、かつ除草剤2種の分解酵素産生という大きな負荷がトウモロコシにもたらされる。その全体的変異は検証されていない。特に殺虫毒素産生トウモロコシは安全性を脅かす報告が続いている。給餌実験では鶏の死亡率が2倍になったり、ネズミの造血系に障害や臓器毒性をもたらす報告がある。栽培地近くに住む農業従事者や住民のアレルギーなど免疫異常、飼料による家畜の受胎率低下や健康影響、食用として人への影響など。フランス政府の遺伝子組み換え作物に関する諮問委員会のルグラン委員長は「害虫、ミミズ、微生物への否定的影響を証明する事実が浮かんだ。また、花粉が予想を超え数百キロも飛んでいることへの懸念もある」と指摘してモンサント社の遺伝子組み換えトウモロコシ「MON810」の仏国内での栽培禁止とした。 こうした事例を検証することなく認可を乱発する姿勢を改め、予防原則に立って慎重に審査をしていただきたい

4.除草剤耐性ピマワタ → 食用、飼料としての使用、栽培等、認めてはならない。理由は2に同じ。

2011年6月8日提出 食政策センタービジョン21 安田節子

(2011/06/14)

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