北海道で交雑距離600m以上!
農林水産省指針ではまるで不十分と判明
農林水産省GMイネ野外実験指針で交雑防止のための隔離距離は30m(25.5mで交雑した東北農研センターの試験結果に基づく)となっています。
2006年1月に施行された北海道「遺伝子組換え作物の栽培等よる交雑等の防止に関する条例」では、GMイネの場合、過去の交雑報告(237メートルの間隔で交雑があったため)に基づき、栽培間隔を300メートル以上に規制しました。
2006年度から3か年計画でイネの花粉飛散距離調査を実施したところ、2007年度調査で300メートルで0.023%、600メートルで0.028%の交雑がありました。
2008年度調査では600m以上(最短距離600m)の距離と推定される近隣農家の作付け品種による交雑が確認されました。
この調査結果を受けて、食の安全・安心委員会委員からは、野外栽培において、「交雑率ゼロはあり得ない。慎重の上にも慎重に進めていかなければならない」との意見も。隔離距離は決められない(科学的に交雑は避けられない)と認識されたのですが、300mの距離基準は変更しないとされました。
国はこの調査結果を尊重し、農水省指針の基準見直しを図るべきです。実験圃場のまわりはどこも稲作が行われ、隔離距離が伸びると実験ができなくなるとの思惑で、便宜的に、非科学的な、わずか30mという距離を設定していますが、このままでは交雑は必至ということです。
交雑が起こってからではその修復は不可能ですし、しかも農家の損失を賠償する法的整備もないままです。商業栽培はもとよりGM作物の野外実験は無責任であり、してはならないのです。
(2009/07/02)