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ドイツがGMトウモロコシを禁止!


失敗続く欧州委員会

2009年4月15日のドイツの報道によると、Ilse Aigner食料・農業・消費者保護相は、多くの研究論文を調べた結果、環境や経済への影響から米モンサント社のアワノメイガ抵抗性GMトウモロコシ MON810の国内栽培を禁止すると発表した。

MON 810 はドイツ国内で現在認可されている唯一のGM品種だ。今年ドイツ東部で3600ヘクタール植えられる予定になっていた。MON 810 は日本でも認可されている。MON 810 はヨーロッパ食品安全機構(EFSA)から唯一承認を受け1998年に商業利用が承認された。

ドイツ環境大臣のキリスト教社会同盟(CSU)、メルケル首相のキリスト教民主同盟(CDU)の政治家は、緑の党と左翼党同様に、ドイツが「GMフリー(GMのない)ゾーン」になる要求を主導するバイエルンの環境長官Soeder(CSU)とともにGM作物の栽培の長期にわたる禁止を要求している。環境と家畜の健康への影響や花粉が普通のトウモロコシへ広く汚染を広げることが懸念されているからだ。

欧州委員会はGM推進の立場だが反対する加盟諸国に禁止を解除させる要請はことごとく失敗している。3月、欧州委員会が試みたオーストリアとハンガリーにMON810を彼らの国で禁止を解除し生産を認可するよう強制する案にドイツは他の20カ国のEU加盟国とともに反対投票を行い、否決された。英国、フィンランド、オランダとスウエーデンだけが委員会を支持した。

欧州委員会がオーストリアの禁止解除に失敗したのは3回目であり、ハンガリーについては2回目であった。3月の欧州委員会の敗北は2月にフランスとギリシャに迫ったモンサントのGMコーンの生産解禁が失敗したことに続く。このときは、27カ国のEU諸国のうち、16カ国が反対か慎重な態度である一方、9カ国が禁止解除の委員会要求を支持した。

割れるEU諸国

EU諸国はGM禁止をめぐって割れているが、賛成は少数となり反対に回る国が増えている。欧州では、GMコーンの作付けは微々たるものだが、それも縮小に向かい、米国のGM大豆の輸出も、強まる反対によって後退せざるを得ないでしょう。米国のGMコーンはもっぱらバイオエタノール原料に向けられるのではないか。

ただし、日本が植物油や家畜飼料としてGM大豆やコーンを大量に輸入し続けることは、GM生産の延命に加担することなる。

穀物高騰の苦い経験を生かして自給飼料、自給油糧作物への転換を図り、あわせて生活習慣病を招く原因となっている過剰な畜産物や油の消費(戦後4〜5倍に増大しています)を減らしていきたいもの。

食べ方によって健康が守られ、輸入依存が解消され、自給の道筋が見えてくるのではないだろうか。

(2009/05/23)

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