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まともな審査なしの遺伝子組み換え食品


はじめに

世界の環境ホットニュース[GEN] (444号 04年11月18日)が「お粗末な遺伝子組み換え食品の審査」という記事を配信しています。

米国の遺伝子組み換え食品の審査について、研究者が詳細に調べた結果、「驚いたことに政府の規制部門は、バイオテク穀物の開発企業が出す情報にほとんどすべて頼っていました。しかもそのデータは雑誌にも発表されず、ピアレビューも受けていませんでした」 と驚いています。

私たちが反対をいう根拠のひとつがまともな安全審査でないことでした。メイワン・ホー博士(英国)は、企業に乗っ取られた科学と批判をしています。

日本の場合はどうか?

日本の場合もまったく同様。

開発企業のデータを追試することもなく、ほれ、このとおり安全だからという趣旨の、企業の申請書類のデータをただ再確認するだけの作業で安全性確認のお墨付きを出しているわけです。

安全評価を終えて流通が認められた組み換え食品のデータは閲覧に供されますが、企業秘密とされる部分は抜かれ、他の研究者が検証することもできないようになっています。しかも提供されたデータは英文ですが、詳細にみるとリスクが懸念される実験結果が日本語訳で省略されて安全という結論だけになっていたという改ざんも行なわれています。

米国政府の安全確認を経て応用化されたものだから、という前提でこのようないい加減な審査でやってきた日本ですが、その元となるデータも科学論文として成り立たないと指摘されては、審査の安全のお墨付きは足元から崩れ去ったということでしょう。

以下転載します。

世界の環境ホットニュース[GEN] 444号 04年11月18日より転載

 世界の環境ホットニュース[GEN] 444号 04年11月18日
     発行:別処珠樹 転載歓迎 意見・投稿→ ende23@msn.com
          お粗末な遺伝子組み換え食品の審査 
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11月16日、アメリカの首都ワシントンの「環境メディアサービス」EMS が、GM食 品について興味深い記事を伝えています。アメリカの雑誌『バイオテクノロジー 遺伝子工学レビュー』が載せた論文(ウェブには見つかりません)によると、GM (遺伝子組み換え)食品は完璧なテストを受けていて、すでに安全性が証明され ているとする考え方は、でたらめだったことが分かったというものです。

「遺伝子組み換え食品の安全性テストと規制」と題された論文は、バイオテク企 業のテストや米政府の規制がどれだけいい加減なものであるかを明らかにしてい て、94年以来、市場に出ているGM食品が本当に安全かどうか、深刻な疑問が出て 来た、と記事は述べています。例えば、GMコーンにはアレルギーを生じる可能性 があるという証拠があるにもかかわらず市場に出してしまったと書いています。

この論文を書いたのは、米カリフォルニア州にあり、6人のノーベル賞受賞者を 出していることで有名な「ソーク生物学研究所」のシューバート研究員らです。 米政府の知られていない規制関係文書や、バイオテク企業で行われた未発表研究 を含め、およそ100の情報源をくわしく調べ上げたようです。

シューバートさんは次のように述べています。 「驚いたことに政府の規制部門は、バイオテク穀物の開発企業が出す情報にほと んどすべて頼っていました。しかもそのデータは雑誌にも発表されず、ピアレビ ューも受けていませんでした」。

さらに彼は 「私たちの調査で分かったのは、アメリカにおけるGM食品の規制が、ゴム印をぺ たぺた押すだけの許可制度で行われていて、GM食品の安全性を保証するようなも のではないということです」と言い、 「科学的な根拠にもとづいてGM食品を規制する方向に進む第一歩になるように、 テストの仕組みを考えてみました。ヨーロッパの研究グループが奨めているもの とほとんど同じ仕組みです」と、新しい方向を提言しています。

▼もとの論文が必要な人は、シューバート研究員に連絡してほしいと書かれてい  ます。電話 +1-858-453-4100 ext.1528

▼EMS http://www.ems.org/nws/2004/11/16/biotech_crop_saf

(2004/11/18)

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