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「人工ホルモン不使用」表示をめぐるモンサント社の訴訟


アメリカだけで使われている人工成長ホルモンrBST

米国では、全体の約3割にあたる乳牛が、遺伝子組み換えで大腸菌に作らせたrBSTという人工成長ホルモン剤(商品名ポジラック)を投与されています。これを使用許可しているのは米国だけです。

乳量を増やし、搾乳できる期間を延ばすのが目的ですが、この投与を懸念する声が出ていることから、「人工ホルモン不使用」を製品に表示する酪農業者も多くなっています。

rBSTを販売している米モンサント社は、メイン州ポートランドの小規模な酪農業者オークハースト社が牛乳にホルモン不使用と表示していることは、rBSTを投与された牛の乳より優れている印象を与えるとして、7月に提訴しました。裁判は2004年1月5日に開廷されます。

しかし、モンサント社とオークハースト社は、和解する可能性を示唆しはじめました。今回の訴訟の結果は広範な影響を及ぼす可能性があります。米国各地で多くの酪農業者が同様の表示を行っているからです。

一部の業者は1997年、自社製品に自由な表示を行なう権利を求めてイリノイ州を提訴しました。この訴訟は法廷外での和解が成立。その結果、彼らは自社の牛乳に「rBST不使用」と表示するときには「米食品医薬品局(FDA)は組換えホルモンを投与した牛の牛乳と投与していない牛の牛乳の間に有意の差がないことを確認しています」という但し書きをつけることになりました。

今回の和解の結果、このような但し書きがつくことになりはしないかと懸念されています。モンサントのこんないかさまの主張が通る、いまの米国の状況はおかしいと思います。

(2003/12/27)

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