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EU専門家会合は組み換えコーンの輸入認可を否決


EU、GMO輸入凍結解除を先延ばし

欧州連合(EU)は12月8日、各国からの専門家からなる会合で、新規の遺伝子組換え食品に課せられていた5年間の凍結措置を解除するとして、初めて検討されたGMスウィートコーンの輸入認可を否決しました。

EU政府は7月に遺伝子組み換え成分を含む製品の厳格な表示ラベリングとトレーサビリティーの規則を義務付けて凍結解除を決めていたのですが、米国の思惑どおりの解除とはならず、先延ばしになった格好です。

反対国と賛成国

このGMスウィートコーンはスイス農業化学大手シンジェンタが開発、申請していた「BT11」(害虫抵抗性と除草剤耐性を併せ持つ品種で日本では認可済み)で、この缶詰の販売許可を審議して投票を行なった結果、賛成6対 反対6に割れ否決されました。

賛成は、スペイン、英国、オランダ、フィンランド、スウェーデン、アイルランド。

反対は、デンマーク、ギリシャ、ルクセンブルグ、オーストリア、ポルトガル、フランス。

ドイツ、イタリア、ベルギーの3カ国は、11月に出されたこの提案の投票を遅らせる要求を委員会が拒否したため、欠席しました。

決定に至らなかったため、早ければ来年1月にEU閣僚理事会が認可の是非を決める見通しです。

今後の注目はモンサント社のラウンドアップレディーコーン

なお、米国モンサント社のラウンドアップ・レディーコーンは、先週、欧州食品安全局から食品および飼料としての使用認可を与えられ、来年2月か3月に上記EU専門家会合で投票が行なわれる見通しです。こちらの結果がどうでるか、注目したいところです。

それにしても賛成国のいくつかが、米国に追随し、イラク派兵した国々と重なり、反対国(と欠席)のいくつかが派兵拒否の国々と重なるところが興味深いです。米国との経済関係、財政支援に依存しすぎると、国家としての自律は難しくなるようです。わが日本も……。

(2003/12/15)

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