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栽培地公表による英国でのGM試験栽培の終焉


英国から、最後の開発企業が撤退

英国では遺伝子組み換え作物の試験栽培地がいくつもあり、環境汚染を懸念する市民グループの実力行使によって破壊される事態が続いていました。9月28日付けオブザーバー紙によると、他の企業が試験栽培から撤退するなかで最後の企業となったバイエル社も、ついに英国での試験栽培停止を決定しました。

撤退の理由

環境大臣マーガレット・ベケットが、予想に反してすべての試験地の場所を明確に公表する決定をしたからです。ベケット大臣は、GM作物の商業栽培との共存をうたう、GMフリーゾーン(GM禁止地域)を禁止するEU規則を支持すべきとの考えであることが、伝えられていました。

先週まで、バイエルの子会社、バイエルクロップサイエンス社は、GM作物試験栽培地の公表は郡名だけでよくて秘密扱いになるだろうと信じていたのです。

予想以上に厳しかった公開規則

しかし、ベケット大臣の決定は、栽培地を参照できる正確な地図を出版する必要があるというものでした。試験栽培地が正確に公表されれば、それが破壊にさらされる状況に、開発企業が撤退することになり、「GM作物の生産モラトリアム(凍結)を図った」(産業側の非難)ことになります。

そのお陰で英国の環境と農業と国民の健康が守られることになるでしょう。イラクの大量破壊兵器のウソ情報で、ブレア政権が支持率50%を切るという不人気にさらされ、危機感を抱く政権は、国民の大多数が強い懸念を持つ組み換え作物への対応を土壇場でひっくり返したのかもしれません。天は英国国民に味方しました。

(2003/9/30)

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