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コーンスターチ用トウモロコシからスターリンク検出


再びスターリンク発見

厚生労働省は2002年12月27日、名古屋港に輸入された米国産トウモロコシに、日本で承認されていない遺伝子組み換えトウモロコシ「スターリンク(StarLink)」が混入しているのが見つかったと発表しました。

スターリンクが見つかったのは三井物産が輸入したコーンスターチ用トウモロコシ。輸入した約1万9000トンのうち1200トンを検査した結果、混入が判明しました。

厚生労働省は、食品衛生法に基づき廃棄または積み戻しの措置をとるほか、米国政府に原因究明を求めるといいます。

「スターリンク」はアベンティス・クロップサイエンス社(仏)が開発した殺虫毒素生成の組換え品種で、米国の規定では、人にアレルギー反応を起こす疑いがあるために動物飼料としてだけ承認していました。

しかし、2000年9月米国で、食品に混入して、300種類以上のトウモロコシ関連食品が米国全土でリコールされました。

日本では2001年4月より安全審査を受けて認可された組換え品種以外は食品に禁止となっています。

混入はわかっていたはず

ロイター記事によれば、米国農務省高官は、問題のスターリンクトウモロコシの残りは昨年すべて破壊されたと信じていたので、このニュースに驚いたと言ったそうですが、2年前のスターリンク事件までは遺伝子組換え品種を普通種に混ぜ込むやり方をとっていたため、在庫のトウモロコシには混入があることは承知していたはずです。

日本側のチェックはほとんどされていなかったので、気が緩んでいたとは業者の弁。日本がそうとう米国から甘く見られていたのは、日本政府のこれまでの対応に責任があったのは否めません。

GM作物が米国農業の競争力を損なう

今回の発覚で、米国輸出業者は主要取引国である日本が、ふたたび米国産農作物に背を向けるのではないかと恐れ、スターリンクによる少量のトウモロコシ汚染がすべての貨物を損なってしまう、厄介な問題だと述べました。

このように、米国は遺伝子組換え作物生産が米国の穀物輸出競争力を失う大きな原因となっていることに気がつかざるを得ないでしょう。ちなみにアベンティス・クロップサイエンス社は、スターリンク回収の影響によってその後 、Bayer AG BAYG.DE に売られました。

いずれにしても、人にアレルギーを起こすような、違法の組み換えトウモロコシは入っていないという100%の保証ができるまで米国トウモロコシは輸入禁止されるべきです。

なお、三井物産の責任も問われるべきでしょう。

(2003/1/2)

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