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バイヤー達は遺伝子組換え小麦を拒否


Reuters, Food Navigator, US, 10/10/2002より

米国小麦の主導的売買組織である米国小麦アソシエイツ(US Wheat Associates )がアジアのバイヤー、製粉業者、ユーザーに対して行った最新の調査によれば、遺伝子組換え(GM)の小麦に対する強い拒絶があることがわかった。

GMを受け入れない生産者たち

モンサント社(Monsanto)は2005年までに米国、カナダで遺伝子組換え(GM)の除草剤耐性(ラウンドアップレディ)春小麦を導入しようとしています。

ただし、収穫物の販売を懸念する生産者には、その製品を受け入れる適切な顧客が存在するまで待つことになると回答しています。

米国小麦の主要な輸入国である日本と欧州連合は、GM小麦を安全とする科学的保証よりもGM小麦に対する消費者の反対が優先するであろうと強調しています。

人の健康や環境に対し、GM小麦が本当に安全なのかという疑いが強まっています。

レポートによれば、米国小麦の主要なバイヤーである日本の食糧庁が、「日本の小麦粉製粉業者はGM小麦を含んでいるかどうか不確かな小麦は決して使用しないと宣言しており、日本はGM小麦を生産していない、別の国に切り替えなければならないかもしれない」と述べています。

日本は、約600万トンの小麦を米国、カナダ、オーストラリアから輸入していますが、特に米国小麦の最大のバイヤーとして、毎年約330万トンを購入しています。

カナダからの150万トンをあわせて80%をGM小麦が導入されようとしている米国・カナダ両国から輸入。残りの20%がオーストラリアからの約100万トン。

また、台湾の82パーセントのバイヤーと南アジアの78パーセントのバイヤーがGM小麦を拒絶すると回答しています。

この調査では、日本の関係者が最も強い反対を表明し、日本政府がGM小麦を認可しても、ユーザーの100パーセントが、売買契約にあたって、GM小麦の偶発的な混入がないことを明確にすることを求めるだろうと述べています。

モンサントが現在GM春小麦開発に焦点をあてているけれども、そのことで国際的にバイヤーたちが米国産小麦を用心して避けるなら、すべての米国産小麦の販売を損なうことになります。GM以外の小麦やその他の小麦製品までが拒絶の危険にあうことになるのです。

アジアのバイヤーなど関係者は、米国産小麦を買い続けるためには荷にGM小麦がまったく混入していないことを保証する認証手続きの確立が必要という認識を示しています。

世界各地の情勢

この最新の調査はアジアの市場だけを扱ったものですが、世界的にも反対は強まっています。

8月に、イタリアの最も大きい製粉業者、 Grandi Molini Italiani はGM小麦が栽培される国からのGM小麦はもとより、どんな小麦も輸入を拒否すると述べました。

こうした情勢にモンサント社はGM小麦をそうでない普通の小麦から隔離する穀物取り扱いシステムを構築しようと情熱を傾けているといいますが、現在流通しているGM大豆やトウモロコシが、分別流通しているはずの非組換えのものに頻繁に混入している実態から言っても、完全な分離流通システムは不可能と思われます。

米国小麦を救う道はGM小麦の開発と栽培をストップすることしかありません。

オーストリアの生産者との議論

私は1999年にオーストラリアのメルボルン市にある小麦輸出ボードという生産者組織の代表者に会いました。

そのとき、先方は米国・カナダとの競争のためにGM小麦を生産するかしないかで意見が分かれているところだと説明しました。

そして日本の消費者として意見を求められました。GM小麦を生産したら日本の消費者は絶対買わないだろうと強い口調で言ったところ、「GM小麦は生産してもそれを日本には輸出しなければいいだろう」といいます。

そこで「ひとたび、GM小麦を生産したなら、混入は避けられず、私たちはGM小麦生産国からの小麦はすべて買えなくなるでしょう」と答えました。

いまのところ、オーストラリアからGM小麦の商業栽培の話は聞こえてはきません。GM小麦の生産のない国ということの優位性が、明らかになりつつあります。

そういう視点であらためて日本のコメについて考えてほしいと思います。

GMイネをやめる事が日本農業の優位性を保つ道であることを知ってほしいと切に思うのです。

(2002/11/18)

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