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食料援助をかたるGMのおしつけ


ザンビアがGM穀物を拒絶

http://www.sky.com/skynews/article/0,,30200-1059294,00.html
Zambia Rejects GM Grain 2002年7月30日より

南アフリカにおける飢饉を救うためにと米国が申し出た何十万トンの穀物援助は、それが遺伝子組換えであったことから拒否された。

米国の支援政府機関によれば、ザンビアはひどい干ばつによって全国的に凶作となり、この国の1千万人の人口のうち、4百万人以上が飢餓の瀬戸際に立たされているという。

しかしスカイニュースのEve Richingsとのインタビューで、ザンビアの大統領Levy Mwanawasa は国民が有毒な食物を食べるより死んだ方がましであると述べた。

「国民に与える前にトウモロコシを調べることが必要であり、それが安全であると確かめられたなら国民に与えるが、そうでないなら何か有害なものを食べるより餓死したほうがましである」

と大統領はのべ、米国からの5千万ドルに相当する遺伝子組換えトウモロコシはその安全性が確認されるまで国外に置かれる事になった。

米国国際開発局 (US Agency for International Development) はザンビアに迫る飢餓の大惨事を避けるためにGMトウモロコシを早く受け入れるよう主張した。

国連ユニセフ報道官によればアフリカ南部地域では食料と水不足で人々は死にかけており、届けることができるすべてを動員して救援に当たろうとしていると述べた。

食糧援助が農作物を汚す恐れ

African Eye News Service 2002年7月29日より

モザンビーク政府は、マラウイに送られる遺伝子組換えトウモロコシが自国の農作物を汚染しないよう、プラスチックで覆うように命令した。

世界食物計画(WFP)によって飢饉にみまわれている国に与えられる食糧援助の一部として米国から船で送られてきたトウモロコシはモザンビークからトラックによってマラウイに輸送される。

しかし、モザンビーク政府が、国内トウモロコシが米国のGMトウモロコシに汚染される懸念を表明したのを受け、WFPは協議を持った。その結果、トウモロコシがこぼれるのを避けるために荷にカバーをかけることが合意された。

モザンビーク通過拒否によってモザンビークの港に留め置かれていた何千トンというトウモロコシのうち、いままでにマラウイに100トン、7月11日〜14日の間に30トンがスワジランドに輸送された。ザンビアは(上記の通り)拒否している。

安田節子によるコメント

飢えに直面する国にGMトウモロコシを送るという行為のなんと破廉恥なことか。

飢えても、誇りを持って国民に有毒なものは与えられないと敢然と拒否したザンビア大統領のことばに胸をつかれました。

先進国の消費者に嫌われ、家畜に与えるのも心配されるような殺虫毒素ができている組換えトウモロコシを食料援助として受け入れ、国民の主食として食べさせることなどはできないという大統領に対し、国民を見殺しにするのか、と米国開発局は非難しています。

しかしそれより、食料援助機関は先進国の人々が食べている安全な食料を援助食料とすべきではないでしょうか。

飢えて死ぬよりはましなんだからという考えのもと、殺虫トウモロコシだろうがなんだろうが食べるだろうという姿勢の、その思いあがりと無慈悲に怒りと悲しみを感じます。

どの国の人々も食べることを望まない組換え作物を大量に生産し続け、押し付ける米国という国はいったいどこへ向かっていくのでしょう。モラル喪失に凋落の予兆を感じます。

(2002/08/01)

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