全農チキンフーズ、中国、タイ産の鶏肉を、鹿児島産非組み換え飼料使用の鶏肉と虚偽販売
悪質な虚偽販売が露見
食肉販売会社「全農チキンフーズ」が、2001年11月から12月にかけて、さいたま市内の生協「コープネット」に虚偽販売をしていたという事が、3月5日に報道されました。
これは、匿名電話による偽装販売情報を得た生協側から連絡を受けた全農チキンフーズが調査して判明したものです。
狂牛病のあおりで、牛肉のかわりに鶏肉の需要が30%も増加して品不足だったからというのが偽装の理由という。
(虚偽の表示であった)非組み換え飼料の鶏肉は、普通の鶏肉より飼料代の高い分、販売価格も高かったはずです。
それが、普通の国産どころか一段と安い中国、タイ産のものだった。
これは、購入した生協組合員にとって、二重にショックだったことでしょう。
つまり、不当に高いものを買わされたということと、安全性にこだわって買ったにも拘らず、国産どころか、どういう飼料、どういう育て方をしたかもわからない輸入品だったということです。
代金の返金が行われるそうですが、不快感、不信感は残るでしょう。
農水省に問い合わせてみた
このところ立て続けに発覚している偽装、虚偽表示事件について、農水省食品表示対策室に違反の対応を問い合わせました。
すると、事実確認ができてからでしか対応は取れないこと、そして、証拠があり調査官が注意することで改善されるのがほとんどだという事です。
注意されても改善しない悪質な場合は農水大臣文書で指示、それでも改善しないと新聞公表。それでも従わない場合は改善命令がでます。さらに、それでも従わないと50万円以下の罰金となります。
たった50万円の罰金まで、えらく(手順が)かかります。
まるで企業保護のような罰金制度
今回発覚したいくつかの事件に対しては
「大臣文書が出るだろうが、すでに社会的に名前が出てしまっていますから」(農水省の罰則ではなく社会的制裁を受けているという意味?)との回答。
これはつまり、農水省のいう罰金50万円までいくというケースはほとんどあり得ないということなのです。
見つかったその時改善すればそれで済むという、どあまーい対応なのです。
これで、どうしてわれわれ消費者は表示を真に受けることができるでしょうか。
なにしろ、表示の信頼性の担保がとれていないのです。うそをついても消費者にはわからない、調査でばれてもその時改善すればそれですむとなれば、品不足とかなにかをきっかけに偽装、虚偽が容易に行われることになります。
農水省の企業保護的政策があだになっている現実
しかし、いったん露見して社会的信用を失えば、雪印食品に見るように企業の存続はありません。
農水省がチェックや罰則に甘いのは、企業活動を妨げる規制にならないようにとする親心(?)がもとにあります。
しかし今では、それが返ってあだになっています。
きちんと正しく企業が育つことは、本来社会的に必要なこと。せめて、虚偽表示は名前の公表と罰金1000万円くらいにしたら、仕入れは真剣勝負となるでしょうに。
結局確かなことは、できるだけ流通経路が短くシンプルなものが、一番信頼できるということだと私は思います。
(2002/03/07)