タイトル 「食政策センター ビジョン21」主宰の安田節子公式ウェブサイト/
リンクは自由です(連絡不要)/お問い合わせは管理者まで

安田節子ドットコム

EU、遺伝子組み換え食品表示、全食品に
 ──油、シロップ、飼料、ペットフードも


出典:ブリュッセル 2001年7月25日ロイター及び26日日経記事

欧州連合(EU)は25日、遺伝子組換え作物を利用した全食品に表示を義務付けます。

厳格な制度を導入し、追跡調査に関する新規定案を発表しました。新規定では、遺伝子組み換え作物を原料にした食品や飼料にラベルを表示するほか、加工品については製造の全過程を記録し、遺伝子組み換え作物の生産農家に至るまで追跡が可能になるようにすることを義務づけています。

具体的には以下を含むすべての食品、飼料、ペットフードが表示義務対象となります。

  1. 植物油、しょうゆ、コーンフレーク、砂糖のように遺伝子が抽出できない加工品
  2. トウモロコシでんぷんから作ったぶどう糖シロップを使った加工品
  3. 飼料やペットフードの加工品

なお、卵、食肉、牛乳などは対象外。

混入比率1%以上から表示義務(1%未満なら混入は容認)。ちなみに日本の場合はEUと比べて相当に緩く、ダイズ、トウモロコシ製品24品目について5%以上の混入比率のものに表示義務となっています。

EUでのGMOの認可態勢

EUは92年から組換え作物の生産販売を認可制にし、トウモロコシ、大豆、ナタネなど18種を認可しました。その後人体や環境への悪影響が指摘され98年に認可を凍結しました。

認可再開?

なお、日経記事によれば遅くとも2003年以降、新規規定に基づき認可手続きが再開されると報道しています。

認可凍結解除の報道についてスウェーデン在住のアキコ・フリッドさんに解説を求めたところ、以下のようにお返事をいただきましたので紹介します。

認可の凍結は継続されます。この意味は、新しい申請は認めない(詳しく言えば、トレーサビリティー(追跡調査可能性)とGMO表示が実施されるまでは)ということです。

日経新聞が以上のように報じたのは、1998年の凍結以降に安全性審査を通過し、認可を待っていた13種(花を抜かせば11種)のGMOの1%までの不慮の混入を認めることになったからでしょう。

1%までの不慮の混入を認めるというだけで、それ以上は認めないのですから、結局はこれまでとあまり状況は変わらないだろうと思われます。

日経が書いている18種というのは凍結以前に認可されたGMOの数です。でも、その中には飼料用のみとか、もう市場に出回っていないGMOも含まれています。(中略)

とにかく、EUでは全行程のトレーサビリティーとすべてのGMO由来食品、飼料に対する義務表示が実施されることになりますので、これからアメリカ対EUの激しい貿易戦争がおこることになるでしょう。日本はどちらにつくのでしょうか?(以下略)

(2001/8/4)

[INDEX][遺伝子組み換え食品目次][遺伝子組み換え食品コラム・目次]

©2000 Setsuko Yasuda All rights reserved.