米国医師会報告「遺伝子組み換え食品は健康に影響なし」について
WIRED NEWSのある記事より
読者の方などから、WIRED NEWSのある記事について質問があったので、私の見解を以下に述べます。該当の記事は、「米国医師会報告「遺伝子組み換え食品は健康に影響なし」」
まだ長期摂取とはいえない
米国医師会の科学審議会による「長期的な健康被害は、今までのところ報告されていない」との報告は、確かに一部はそのとおりです。
しかし、我々が組換え食品を食べ始めたのは1996年からで、しかも当初の生産量はごくわずかでした。ちなみに長期的健康被害とは、長期間食べ続けてガンになったり、などの事です
いまでこそ米国産ダイズとトウモロコシでは40%以上を組換え品が占めるになっていますが、まだ、人類は長期摂取はしていないわけです(幸いに!)。よって、被害はまだ発生するには至っていないというのが正しい表現です。
今後発生の可能性はあるが、健康被害が発生しないように、今は市民が規制を求めて闘っているわけです。
疑われるアレルギー性
しかし実は、ごく微量で発症するアレルギーについては、組換え食品の作用を疑う事態も出てきています。しかし表示をしていない米国では、因果関係の立証はできないでしょう。それでもスターリンクの事件のように、アレルギーを引き起こした疑いありと政府が発表したものもあります。
こういう事が起こっているのに、この報告によると表示は不要としています。
アレルギー患者の発生を防ぐ立場である医師会としては、本来表示を求めるのが筋だというのに。
これに対し、英国医師会は早くから警告をして、安全性の確認ができていない現状の凍結を求める声明をとっくに出しています。
英国と米国、どちらが主体的な医師会でしょうか。
すでに破綻している「実質的同等性」の論理を再度持ち出してきた
また、遺伝子組み換え食品がこれまでの食品と「本質的に同等」という見解は、これまでの米国政府、および開発企業が、組換え食品の商品化のためにでっちあげた論理の繰り返しです。
これをいまさらいっても、もはや信用されません。あきらかに開発企業の代弁をしていることがみえみえだからです。
これは、どこかでこの報告書のためにお金が動いたのでは、とさえ勘ぐられる程度のものです。
分子生物学者たちからも、実質的同等性の論理の破綻はとうに指摘されていることです。
結論として、このホットワイアードニュースを目にした私の感想は、「いまだにそんなこと言って、これで人々が安心して食べるようになるとでも思っているのかしら。やれやれ」といったところですね。
(2001/7/16)