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各国の遺伝子組換えの規制状況(2001/6月現在)


Third World Network(Penang)(※)より。(翻訳 安田)

※マレーシアにあるNGOで、WTO体制やバイオ技術の問題性などを途上国の立場から監視し、世界中に情報発信をしています。マーチン・コーという著名な人物が代表です。コー氏は日本始め世界中の国際会議などで積極的に発言をしています。欧州の科学者たちとも深い信頼関係を築いており、国際的ネットワークを持つ団体です。

アフリカ

アルジェリア:研究目的を除き、遺伝子組換え植物原料の輸入、流通、商品化と利用の禁止

エジプト:組換えコムギの輸入禁止を宣言

アフリカ統一機構(OAU)はバイオ安全法のモデル草案で、すべての遺伝子組換え体(食品、作物、薬、商品、製品の分類に関わらず)の輸入、輸送、配合、環境放出、市場放出に対し、事前の認可を義務付けた。

このためすべての遺伝子組換え体やその製品には、表示の義務付けと信頼性のおける厳しい管理体制の実施が必要となる。

このモデル法は、アフリカ諸国の組換え体規制実施のモデルとなる。

アジア

スリランカ:2001年5月より生鮮、加工の全ての遺伝子組換え食品の輸入が禁止される。これには遺伝子組換え体およびその製品が含まれる。

タイ:組換え作物の試験栽培の禁止。予定されていたモンサント社の組換えコットンとコーンの試験栽培を中止。また、すべての組換え作物の商業栽培を禁止。タイは2001年末までにすべての組換え食品の表示規制を策定する予定。

中国:組換えのイネ、コムギ、コーン、ダイズの商業栽培を禁止。

日本:組換えコムギの輸入はしないと宣言(安田註 業界団体の宣言)。未承認の組換え産物の輸入はゼロ基準(安田註 四月からの安全性審査義務化により未承認品種の輸入は認められないため)。輸入品に未承認の組換え体を含むことが分かった場合、廃棄もしくは積戻しとなる。違反者は1年以上の禁固刑。また四月より表示の義務化も発効。

フィリピン:バレンシアは組換え食品と作物の試験栽培と商品化の5年間の凍結を要求している。フィリピン大統領は最近、組換え作物研究の凍結を表明した。

欧州

欧州連合は表示とトレイサビリティ(追跡可能性)について厳格な規制を策定する見通し。

それゆえ組換え製品はその原料の痕跡が検出できなくても表示が義務付けられる。

ノルウエー:抗生物質耐性遺伝子を含む6品目(2種の組換えワクチン、組換えコーン、タバコ、チコリ、ナタネ)の組換え作物と製品の輸入禁止。また、これまでに31品目が申請を却下されている。

オーストリア:ノバルティス社、モンサント社、アグレボ社の3種の組換えコーンの禁止。

条件不利地域・山岳地域のための連邦研究所は、組換え禁止の法律制定を推し進めており、Vorarlberg州、ザルツブルグ州が主導する組換え試験栽培禁止の、組換えフリー地帯の報告書を出版。

ドイツ:ノバルティス社の殺虫毒素(Bt)生成コーンの禁止。

遺伝子組換えフリー決議についてドイツ各地での討論と投票を行うBUND(地球の友ドイツ)が主導する「共有地における遺伝子組換えノー」の活動が開始。この活動の申請を行ったのは:Bad Vilbel,Blauenstein,Lahr,Konstanz,ハノーバー、ハンブルグ。申請が受理されたのは:ミュンヘン、リューリンゲン、Freidrichsdorf,Blomberg,Selingenstadt,Niddatal,Maintal,Reidstadt,Adendorf,Schwebheim,Pinneberg,Schwabach,Lan-genhagen,Wyhe,Burgdorf,Neetze, District Traunstein.

いくつかのプロテスタント地域教会組織は彼らの地域での組換え作物を禁止。ハノーバー、Hessen und Nassau,Sachsen,Protestantic Church of Westfalen,Protestantic Church in Berlin-Bradenburg,Churchi Province of Sachsen.

英国:英国国教会は6万ヘクタールの領地での組換え作物の試験栽培の認可を拒否。多くの地方自治体が組換えフリーの学校給食を提供。下院ではケータリングに組換え食品を禁止。ジャージー島は組換え作物を禁止した。

スペイン:バスク地方政府は組換え体について5年間の包括的凍結を課した。カスティラ・ラ・マンチャ州とバレアレス州は組換え食品を禁止し、アンダルシア州は5年間の組換え作物の試験栽培と組換え食品の凍結を宣言。

イタリア:トスカーニ、Morise,Lazio and Marcheの4地方およびローマ、ミラノ、トリノ、ブレシア、ジェノヴァを含む25の区、市、地域が組換え作物を禁止。

ギリシャ:アグレボ社の除草剤耐性ナタネの禁止。組換え作物の試験栽培の凍結。

フランス:PGS社とアグレボ社の除草剤耐性ナタネの禁止

ルクセンブルグ:ノバルティス社の殺虫毒素(Bt)生成コーンの禁止。

ポルトガル:ノバルティス社の殺虫毒素(BT)生成コーンの禁止。

ラテンアメリカ

ブラジル:組換え種子の作付け禁止。リオ・グランデドスル州とマトグラッソドスル州は組換え禁止を続ける意志を宣言。18州が中央政府に組換え作物の商業栽培を阻止するよう要求。

パラグアイ:農務省が組換え作物の商業栽培の禁止を計画。

中東

サウジアラビア:組換え食品の禁止と組換えコムギの輸入はしないと宣言。

北アメリカ

アメリカ合衆国:メリーランド州は組換え魚を禁止。組換え食品の凍結を求めているバーモント州、昨年組換えコムギ禁止を申請したノースダコタ州とモンタナ州、いくつかの自治体は組換え食品の凍結を宣言(ヴァーモント州、バーリントン)。組換え作物の禁止はコロラド州、ボルダー市。また中央政府へ組換え食品の禁止を要求しているカリフォルニア州サンフランシスコ市。

太平洋地域

南太平洋14カ国(米国領サモア、クック諸島、フィージー、キリバツ、ミクロネシア連邦、マーシャル諸島、ナウル、ニウエ、パプアニューギニア、サモア、ソロモン諸島、トンガ、ツバル、バヌアツ)は、適切なリスク評価とリスク管理手続きが実行されるまでは組換え体の輸入を凍結するよう勧告。

オーストラリア:タスマニアでの組換えナタネの栽培禁止。西オーストラリアでの組換え作物の商業栽培の禁止。オーストラリアの各州は独自に組換えフリーの宣言をする権利を与えられている。いくつかの共同体(例えばシドニィのボンディ、西ウイメラシャイアー)は独自に組換えフリーを宣言している。

ニュージーランド:政府によって組換えサーモンの試験は阻止された。オークランドとウエリントンのいくつかの地方自治体は独自に組換えフリー宣言をしている。

(2001/7/6)

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