農水・厚生労働官僚との話し合いの模様を公開します
緊急集会
今日は、前回お知らせした『「スターリンク」申請を問う 市民・議員学習会』の模様をお伝えします。
この集会は、先日スターリンクの飼料申請が行われたことを受け、3月14日に衆議院議員会館で緊急に開かれました。
当日は市民・農民団体や国会議員が多数参加し、厚生省、農水省の担当官と折衝を行いました。
スターリンクをめぐるここまでの流れ
2001年2月末、アベンティス社は、日本では未承認の遺伝子組み換え(GM)殺虫コーン「スターリンク」の飼料認可申請を農水省に提出しました。
スターリンクは、アレルギー性の懸念があるため、米国では食品としては認可されていない品種です。
しかし、昨年来米国では、食品から次々と検出されており、回収騒ぎにもなりました。そしてついに、2001年度の作付けは禁止とされるに至ったのです。
もちろん、日本でも未承認の品種のはずなのですが、飼料からも食品からも検出が続いています。
アベンティス社の対応とアメリカの現状
このような流れがあるわけですから、今は混入が起こらないように、輸入禁止措置と万全の検査体制こそが求められるというのに、こともあろうにアベンティス社はスターリンクを飼料として流通させるための安全性審査申請を出したのです。
これが、農業資材審議会の審査を通る事になれば、『スターリンク』は大手をふって、この日本に流通することになります。
集会では、名古屋大理学部の河田昌東さんが発言しました。
- 米国ではコーン種子へのスターリンクの混入が発覚し、種子汚染が広がっていること
- 米国環境保護庁(EPA)が、今後は家畜飼料も、食品の安全審査合格を条件にすると言明(3月7日)した事
との報告でした。
アメリカでの食品安全性審査の結果
アベンティス社は、昨年米国で「スターリンク」の食品への混入が明らかになった後、食品の安全性審査を申請しました。
審査したEPAは、
- 人間に対するアレルギー性の懸念が消えない
- 中程度のアレルギー性がある
と結論付け、却下しています。
河田さんは、スターリンクのアレルギー性殺虫蛋白はごく微量でも赤ちゃんなど幼い子どもに影響がある、と指摘しています。
農水省の現在の態度
農水省は、昨年末からニワトリにスターリンクを与える実験を独自に行い、肉質にはDNAや蛋白質は移行しないことを確認したと発表しました。
この様子では、アベンティス社の申請にOKを与える可能性が高いと思われます。
そうなると大きな問題なのは、飼料用が食品原料に横流しされている現状では食品の汚染も避けられないという事です。
参加者の意見と官僚側の回答
参加者からは、
- 「米国で作付け禁止や回収になったものを日本で許可するのはおかしい」
- 「混入が避けられない実態を放置してこれを合法化しようとするなんておかしい」
- 「安全審査を凍結すべき」
- 「EPA判断のように、食品で認められない限り、飼料単独でも認めるべきではない」
などの意見が出されました。
これに対して農水省の回答者は、「審査の凍結はできない、通常の手続きで進めている」との回答でした。
ただ、審議会内部からも、安全性審査のあり方を現行の指針(未審査のものが流通しても規制できない)から法規制化に変更する意見がでており、「安全審査の義務化の検討を進めている」との発言がありました。
一方、厚生労働省は、
- 4月以降、法的義務化で未承認のGM食品の流通は規制されるという事
- 地方自治体でも検査が行われるという事
を述べました。
結局、継続して4月中に集会を持ち、流通実態を公開させ、きちんとした対応を引き続き求めていくことにして、集会を終える事になりました。
(2001/4/5)