タイトル 「食政策センター ビジョン21」主宰の安田節子公式ウェブサイト/
リンクは自由です(連絡不要)/お問い合わせは管理者まで

安田節子ドットコム

アメリカがヨーロッパでのGM飼料表示化をくいとめたい理由


ヨーロッパと米国の貿易紛争

ヨーロッパ国民の世論は、動物飼料を含むすべての遺伝子組み換え食品の表示と、十分な安全性テストを要求しています。

一方米国側は、もしEU内のスーパーマーケットの食品からGMの表示ラベルが取り除かれないならば、EUからの輸出品に経済制裁を課すことをWTO(ジュネーブ)に要求する、と強硬な態度に出ています。

なぜアメリカはヨーロッパを脅すのか?

なぜ米国が、差別的貿易という、半ば脅しのような事まで言うかというと、GMの表示化に対する農業バイオ産業の危機感というものがを背景にあるからです。

たとえば、家畜飼料としての大豆は、合衆国がEUへ輸出できる、貿易上の大きなドル箱なのですが、この輸出額が数年前の年間最高26億ドルから、最近では10億ドルへと、大きく落ちこんでいます。

このように、ただでさえ落ち目な状況の中、GM飼料による畜産品にラベル表示が(EU内で)必要となったならば、米国の組み換え大豆とトウモロコシにとっては、たいへん大きな打撃となってしまうわけです。

さらに、こうなると日本、韓国そしてその他の主要な穀物輸入国までもが、EUと同様にGM飼料に表示を要求するであろう方向へ、確実に向かってしまうわけなのです。

[INDEX][遺伝子組み換え食品目次][遺伝子組み換え食品コラム・目次]

©2000 Setsuko Yasuda All rights reserved.