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環境影響調査をすれば安心できるのか?


オーストラリアの遺伝子組み換え

今日は、オーストラリアのお話をします。最初に海外のニュース(翻訳:アキコ・フリッド)を読んでいただき、そのあとで私のコメントを読んでください。

■オーストラリアで遺伝子組み換えの環境影響調査始まる(2000年8月31日)

オーストラリア政府は、遺伝子組み換えを施した植物や動物が環境に与えうる影響について、3年間にわたって調査を行なうことを発表した。
 調査の対象としては、綿花、ユーカリの木、貝、マウスのウイルスなどが予定されている。

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ニュースはここまでです。

安田節子によるコメント

まずは、今回調査対象になった、遺伝子組み換えの綿花、ユーカリの木、貝、マウスのウィルスの4種類について見ていきましょう。

まず綿花ですが、オーストラリアでは、すでに遺伝子組み換え綿花の商業栽培が始まっています。

そしてユーカリも、リグニン(註)等の成分が少なく、製紙効率が良くなる組み換え品種の実験栽培が始まっているはずです。
註:通常、20〜30%存在する。細胞間を接着・固化する働きを持つ。

貝とマウスのウイルスについては、どんなものか不明です。

次に、環境影響評価というものですが、これは、応用化のために行われているものですから、油断はできません。そもそも、 わずか三年間で、環境に与える影響のすべてがわかるわけがない のです。

それでも調査をするならば、当然の事、近縁種だけではなく、鳥、昆虫、土壌微生物、ウイルスなど、生態系全体へ与える影響まで調べなければなりません。

なぜここまで言うかというと、『組み換え作物の花粉を集めたミツバチ』を調べた別の実験で、そのミツバチの体内ウイルスが、組み換え作物の、抗生物質耐性遺伝子を取りこんでしまっていたことがわかっているからです。

1度組み換えた遺伝子が、そんなところまでも影響を与えてしまうことを考えれば、環境影響評価などはとりあえずのものでしかないのです。

これらはやはり、野に放つべきものではないと思います。

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