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各国の状況 ……南米の場合


対照的な2つの国

南米では、ブラジルとアルゼンチンの例をあげてみたいと思います。

まずブラジルですが、大豆の大生産地であるこの国には、モンサント社がブラジル政府に要請して、遺伝子組み換え大豆の生産を認めさせました。

ところが、1999年1月に、リオ・グランデ・ド・スル州(※)知事が、遺伝子組み換え大豆の生産を禁止するという宣言を行なったのに続き、市民団体や科学者が、生産を認めないよう求める訴訟を起こしたのです。
※……大豆の主要生産州の1つ

最高裁の判決

最高裁は、環境への影響評価が出来上がるまでは、一切の生産を禁止するという判決を下しました。

このため、政府は認可したものの、実質的には生産禁止という状況になっているのです。

農務大臣の売りこみ

ところがこの状況が、かえって売りこみの材料となりました。

 99年春に、ブラジルの農務大臣がイギリスを訪れた際、 「ブラジルのリスク・アセスメント体制が整うには、まだ2,3年かかるから、少なくともそれまではブラジル大豆は絶対安全!」  と、大いに売りこんだというのです。

一方アルゼンチンの場合は、早くからモンサント社が入りこんでいたため、今や生産量の半分がラウンドアップ耐性大豆となってしまいました。

これから、遺伝子組み換えに対する逆風が強まっていく事を考えると、組み換え大豆の価格は暴落する事もありえます。

日本の推進派は、南米の状況をしっかり学んで、将来を考えるべきでしょうね。

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