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斑点米アンケートの結果について


3270もの回答

斑点米アンケートには皆様から多大なご協力をいただきました。ありがとうございます。お蔭様で他の団体とあわせ消費者アンケートは47都道府県すべてから3270件もの回答があり、コメントの数は702件に上りました。生産者アンケートは静岡県、富山県、佐賀県、宮崎県、沖縄県を除く42都道府県から229件の回答、コメントは131件でした。

アンケート結果(PDFファイル 83KB)

前記事 カメムシ斑点米規格の削除を!

消費者アンケート結果

「質問1」では、米の検査に斑点米規格があることを78%が「知らない」と回答。

「質問2」では、斑点米が1000粒に1粒余分にあるだけで等級落ちすることを87%が「知らない」と回答。 流通業者が米を買い入れる時にある等級は、消費者が購入する店頭では消えているため、ほとんどの消費者が知らないのは当然と言えます。

「質問3」では、米に使われる殺虫剤で最大面積散布されているのがカメムシ防除用ということを91%が「知らない」と回答。

米の栽培中にどういう農薬がどれだけ使われているか、農水省は農薬使用の実態を情報公開すべきです。さらに穀物だけでなく、野菜・果実・茶などに使用した農薬の情報を表示として義務づけ、農薬使用の実態を可視化することが必要と思います。知れば買いたくないものを知らされないゆえに口にしているという現実を変えていかねばなりません。

「質問4」では、斑点米(着色粒)の規格を83%が「不要である」と回答。

コメントでは、「口に入るもの全て安全かどうかの基準を第一にしてほしい」、「色彩選別機で斑点米を弾くのだから規格はそもそも不要、それなのに農家からの買取で等級をつけ価格差をつけるのは不当」といった意見が多かったです。

集約結果やコメントから、斑点米規格の存在と、それによって過剰な農薬使用が助長されていることを多くの消費者は知らなかったのですが、そのことを知った消費者は総じて、この規格を有害で不要と認識していることがわかりました。

生産者アンケート結果

「質問1」米の検査を受けている生産者が61%、受けていない生産者が38%で、受けていない生産者が40%近くになったのは、直接消費者に販売していると思われる有機生産者が多かったせいかもしれません。

検査を受けていて、質問3のカメムシ防除のため農薬散布をしていると回答した生産者は45%、防除していない生産者は55%でした。また、検査を受けている生産者のうち、質問4の検査が必要かどうかという質問に「検査が必要」と回答した人が25%、「必要なし」と回答した人が75%でした。また、質問5で、検査を受けている人で斑点米規格が削除されたら散布を「継続する」と回答した人が17%、「散布を中止する」と回答した人が83%であり、この検査が不必要と考えている生産者が圧倒的でした。

「質問2」米の検査において斑点米が1000粒に2粒になると2等米となって、農協引取り価格が大幅に安くなることを知っているとの回答が79%。米の検査を受けていない生産者も知っているということです。

「質問3」カメムシ防除のための農薬散布を行っているが32%。カメムシ防除をしていない生産者が66%というのは、有機生産者の回答が多かったせいでしょう。日本の実態を反映していないかもしれません。

「質問4」農家として米の検査規格に着色粒(斑点米)の項目は不要との回答が80%に上りました。しかし、農家には不利な規格でも「必要」との回答が約20%あったのは、取引先の見栄えに対する要求が簡単にはなくならないと考えているからなのでしょう。

「質問5」米の検査から着色粒の項目が削除された場合、カメムシ防除のための農薬散布は止めるとの回答が60%でした。無回答の28%は、カメムシ防除の農薬散布をしていない生産者が66%もいたためでしょう。その人たちはもともと散布していないので、止めるか、続けるかという選択肢には無回答となったようです。

生産者のコメントから

まとめ

アンケートの集約結果では、消費者の83%、また生産者の80%が「着色粒規格は不要」と答えています。着色粒規定を理解した人のほとんどが規格の見直しが必要との認識を持つことがわかりました。また、これまで検査を受けている生産者のうち、斑点米規格が削除されたら散布を中止するとの回答が83%に上りました。

早急に、農産物規格規定の着色粒の規格を削除し、農産物規格規定そのものの見直しを行うよう、アンケート集約結果を持って、以下を要請していきます。

なお、コメ表示の見直しについて、10月22日消費者庁食品表示課課長との交渉を行いました。引き続き折衝を予定しています。また農水省の食糧部長との品位検査見直しについての交渉も再開する予定です。

要請事項

  1. 農産物検査規格における米の「品位(等級)検査」の「着色粒」の項を削除し、着色粒の混入による格下げを行わないこと。
  2. 農産物検査規定(米・麦)の品位に関する項目を、生産者・消費者の利益となる内容に全面的に見直すこと。現在の「見栄え重視の検査」を改め、等級を簡略化し(外国産米は合格・不合格しかない)、農薬使用回数、残留農薬、遺伝子組み換えなど、「食の安全に直結する検査」に重点を置くこと。
  3. カメムシ類の発生を物理的、耕種的手段などによって抑制し、農薬に頼らない稲作技術の開発・普及をはかること。
  4. 「着色粒(斑点米)の混入に起因する流通コストの増高に係る調査」(仮称)結果を早急に公表すること。

<米の検査規格の見直しを求める会>(17団体)
食政策センタービジョン21・生き物共生農業を進める会・反農薬東京グループ・日本不耕起栽培普及会・主婦連合会・日本消費者連盟・日本有機農業研究会・提携米研究会・ネットワーク農縁・日本消費者連盟関西グループ・全日本農民組合連合会・お米の勉強会・各務原ワークショップ・日本雁を保護する会・市民の大豆食品勉強会・茨城アイガモ水田トラスト・安全な食べものネットワーク オルター

(2009/10/30 いのちの講座60号(09年8月号)より転載)

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