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米モンサントの除草剤「グリホサート」に発がん性の恐れ


WHOの機関が発表

世界保健機関(WHO)の専門組織である国際がん研究機関(IARC)は2015年3月23日、米国モンサント社が開発した除草剤「グリホサート」に発がん性の恐れがあると発表した。

The Lancet Oncologyでオンライン発表され、IARCの評価の結論とその根拠に関する簡単な説明がされている。詳細はIARCモノグラフ112巻として発表される予定である。

各地で使われているグリホサート=ラウンドアップ

「グリホサート」は米国モンサント社が開発した「ラウンドアップ」の商品名で知られる除草剤の主要成分。日本を含む多くの国で使われている。

IARCは、グリホサートを5段階分類で上から2番目にリスクが高く「人に対して発がん性のおそれがある」ことを示す「2A」に位置付けた。

IARCのグリホサート評価を行ったグループの座長Aaron Blairによれば、グリホサートに発がん性の可能性があると確信した根拠は2つで、一つは実験室の研究でヒトの細胞のDNAと染色体を傷つけることが示され、これはがんの発生につながる可能性がある。二つ目は、グリホサートを投与したマウスとラットでがん性腫瘍の発生率が増加しているものがあった。これらは希ながんで自然発生は考えにくいものなのでグリホサートが原因の根拠となる。

評価機関として信頼性が高いIARCの発表でグリホサートがGroup 2Aに分類されたことは、これまでヒトに毒性はないとしてきたモンサント社とその息のかかった研究機関や組織は衝撃を受けている。グリホサートは世界中で大量に使用されている除草剤であることからも影響は大きい。彼らはこの評価の否定にやっきとなっている。

以前より懸念されていた危険性が明らかに

グリホサートについてはこれまでも安全性を懸念する声が強かった。しかし、モンサントらはリスクを隠ぺいし、息のかかった科学者集団を動員し、政治力、資金力を使い、まったく安全と宣伝して売りまくってきた。モンサントが開発した遺伝子組み換え(GM)作物では、ラウンドアップ耐性大豆が主力製品だ。その生産には同じく自社商品のラウンドアップが大量に散布される。GM大豆はラウンドアップとのセット売りであり、モンサントの多大な利益に貢献している。

ブラジルやアルゼンチンなど南米ではラウンドアップ耐性GM大豆の栽培が広がり、ラウンドアップの大量散布によって住民に深刻な健康被害(ガン患者の増加、先天異常の多発など)をもたらしていることが社会問題になっている。

日本では農業用のみならず、ホームセンターでも広く販売され、身近で使用されている。ラウンドアップ追放の声を上げ、禁止まで、「使わズ、使わせズ、売らせズ」の三ズでいこう!

(2015/04/11)

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