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米国初の遺伝子組み換え食品表示法、コネチカット州で可決


RT(ロシア・トゥデイ)報道(2013年6月5日)から仮訳

米国大手外国語ニュースチャンネルRTによると、コネチカット州は遺伝子組み換え成分を含有する食品に表示を義務付ける法律を制定する米国最初の州となった。ただし、他の4つの州が同様の法律を可決しなければならないという変わった条件がついている。

GMO表示を支持する人たちは称賛するが、それは超党派的な『妥協』の産物で最初の提案をひどく弱めたものとなり、4つの州(その一つはコネチカットに接していなければならない)が同様に表示法案を可決することを義務づけ、更に、4つの州の総人口が2000万人を超えることという条件がついている。

ニューヨーク・デイリー・ニュースがちょうど昨日報告したように、ニューヨーク州でGMO表示の法案が敗北したのは、土壇場でのバイオテクノロジー企業のロビイストによる圧力に起因していた。

RTが以前に報告したように、バーモント(独立心のある州議会として長く知られている)などの州でさえ、モンサントなど企業からの訴訟の恐れによりGMO表示に対する支持の不足を生み出している。

GMOに表示を義務付ける最初の議案を弱体化したバージョンにして可決したコネチカット州のマーロイ知事は、法律が現在の形で可決された理由に関して、疑いをはさませず、「この法律は、(表示化によって)競争上不利になるわが州の中小企業を保護する一方、何が食物に入っているか知る消費者の権利を確実にするという重要なバランスを保つものだ」と、声明で述べた。

アメリカ人の90パーセント以上がGM食品の表示化を支持すると考えられるが、食品医薬品局の1992年の声明はGMO食品が他のものと「物質的に」異なるものはみいだされないと発表している。

そのFDAの決定以来、食品業界は、GMO成分表示化を妨げるために、かなりの資金を費やした。2012年に、バイオテクノロジー企業連合は、カリフォルニア州で最終的に失敗したGM表示法案に対して、広告による法案へのすさまじい攻撃に約5000万ドルを使っている。

安田節子コメント

RTが伝えるように、米国市民の大多数が求めているGM表示は企業の資金や訴訟という恐喝によって、阻まれてきた。表示義務化が実施されるまでには4州の法案可決というハードルがあるにせよ、コネチカット州の第一歩は、表示を求める人たちを勇気づける。

現状は、自分が食べる食べ物の中身を知って選ぶという当然の権利が侵害されている。GMサケの認可が秒読みとなり、GM小麦の不正流通が報じられるなど、米国民の食卓に不安が広がっている。怒りのぶどうは限界に近付いているのではないか。反撃の津波が米国を覆う日が来るだろう。

TPPを背景に米国がGM表示撤廃を日本に要求すると危惧されている。このような露骨な反市民、反民主主義、反社会的要求に対して、それこそがTPPの正体と見極めよう。そして国産の、組み換え原料不使用のまっとうな食べ物を選び、買い物による投票行動で抵抗していきましょう。

(2013/07/20)

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