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Non-GMO
非遺伝子組み換え認証マーク

米国有機食品業界が非遺伝子組み換え認証マーク


消費者による選択可能に

米国では遺伝子組み換えを使用しないで生産された有機認証食品であっても混入が起こりえ、消費者の不安をどう解決するかが有機食品業界の課題となっていた。

全米に270店舗を構える有機食品小売の最大手Whole Foods Market社は販売する自社ブランドの有機食品に非遺伝子組み換え(NON-GM)の第三者の基準認定を満たすものに蝶の図柄の入ったNon-GMOラベル(図)の採用を開始した。Non-GMOラベルによる消費者の選択を可能にする取り組みは米国社会にゆさぶりをかけることになるのではないか。同社は有機・自然食品に特化していながら、2009年度は7600億円の売り上げを誇る規模と大きな影響力を持つ。

以下はNon-GMO Projectへの参加を表明した同社のプレス・リリース(2009年7月9日)から

FDAによると米国の加工食品の75パーセントがGM作物由来の成分を含んでいる。それにもかかわらず59パーセントのアメリカ人が食べ物に含まれる遺伝子組み換え成分の問題をよく知らない。米国連邦法の有機基準では非遺伝子組み換えであることが要件となっているのに、一般食品ではGMO表示がないままになっている。

Whole Foods Market社がメンバーとして加わっているNon-GMO Projectは、遺伝子組み換えではないものを消費者が情報に基づいて選択ができる有効な方法を専門に研究する非営利団体である。これは、メーカー、小売業者、プロセッサー、卸売業者、農民、育種家、消費者による協同で基準を確立し、北米では最初の独立した第三者の製品確認プログラム(Product Verification Program=PVP)を開発した。

PVPは、基準の遵守を測るために現場での施設検査、文書に基づくチェックとDNA鑑定を結合させたプロセスを使用。例えば遺伝子組み換え汚染の危険の高いダイズやコーンを回避する手続きと検知試験を通してNON-GMO標準を満たした製品にシールが許される。Whole Foods Market社ではこのシールのついた自社ブランド製品が2009年末までには店頭にお目見えする予定。※参照

安田コメント

非組み換えであることを物理的、科学的に確認、認証するシステムが構築されたことは画期的です。米国有機市場から始まるこのシステムは、一般市場に無表示のままあふれるGM食品の検査と表示化の要求となって広がっていくのではないでしょうか。

一方、日本は表示制度があるとはいえ、その実態はお粗末極まりないものです。GM由来の原料を含んでいても、表示されないものがほとんどだからです。

現在、精度が一段と上がっているGM成分の検知技術をもとに、日本もPVP(独立した第三者の製品確認プログラム)を導入すべきでしょう。消費者の側に立つ組織として発足したはずの「食品安全委員会」はいまでは米国産業界の意向や官の意向で動いているように思えるほど、まったく期待できなくなっています。(いのちの講座 64号(2010.6.30発行)記事より)

(2010/7/15)

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