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モンサント「脅迫戦術」から農民を守る 対GM農民保護法が発効


有機農業ニュースクリップ 2008-12-26 No.504から転載

米国カリフォルニア州のシュワルツェネッガー知事は9月27日、8月末に同州議会を通過していた法案541に署名し、モンサント社などのバイテク企業の「脅迫戦術」から農民を擁護する法律が発効した。

・カリフォルニア州議会, AB541 AB 541 Assembly Bill - CHAPTERED

食品安全センター(米国)などによれば、遺伝子組み換え作物の特許権を持つモンサント社は、無断で農民の土地に立ち入り、サンプルを採集し、同社の特許権侵害で法外な賠償を取り立ててきた。この「特許権侵害」の多くの原因が、隣接する圃場から流出する花粉による交雑など意図せざる場合であるといわれている。このようなモンサント社の横暴の一端が、カナダのナタネ栽培農民であったシュマイザーさんの裁判で明らかにされている。

同州のハフマン上院議員は2007年2月、こうした状況に歯止めをかけるものとして法案541を提案した。当初は成立が危ぶまれていたが、いくつかの修正を経て8月29日の州議会で成立し知事の署名待ちとなっていた。知事の署名に、この法案541の成立に運動を続けてきたカリフォルニア州の農業団体など13団体からなる Genetic Engineering Policy Projectは、「もはやモンサントの脅迫戦術は不可能になった」と発効を歓迎する声明を出している。

・Genetic Engineering Policy Project "CALIFORNIA'S FIRST LAW PROTECTING FARMERS FROM THREATS OF GENETIC ENGINEERING SIGNED BY GOVERNOR" SUPPORT AB 541 - Genetic Engineering Policy Alliance, California Genetic Engineering

今回発効したカリフォルニア州のこの法律では、厳しい手順によりモンサント社のようなバイテク企業による一方的な侵害立証を制限し、故意でない限り意図せざる交雑などについて、栽培農民の側に責任がないことを明記している。

この法律の重要な点は、一方的かつ恣意的ではない公正なサンプリング手順を決めていることと、意図せざる栽培や交雑による栽培農民の責任を明確に否定していることである。この法律に従えば、カナダのシュマイザーさんのケースは何のの問題もないことになるだろう。この法律の発効により、モンサント社に代表されるバイテク企業に一定の制約を加えることになる。

これまで特許を盾にして、農民から不当な「賠償金」を取り立ててきたモンサント社による農民攻撃については下記に詳しい。

・やすだせつこ.com
「脅しの手紙 モンサント社が農家に送る”恐喝状”を公開」
「モンサント社の訴訟作戦 モンサント社に脅される農民」

(2009/01/28)

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