積み下ろし港で組み換え菜種が自生!
組替えセイヨウナタネが自生!
6月30日農水省は食用油の原料として輸入されている遺伝子組み換えセイヨウナタネが輸入港の茨城県鹿島港周辺で自生していることを明らかにした。調査は2002年5月から今年3月までで、採取した種子や植物体27点中8点に組み換え遺伝子を検出。約3割もこぼれ種から自生していたのです!
また「遺伝子組み換え食品を考える中部の会」が7月14日三重県四日市港と同市内の搾油工場周辺路上からナタネを採取、キットでの検査と専門家の同定の結果、14検体中3つが陽性でその割合は21.4%に上りました。
日本が輸入するカナダ産組み換えナタネの積み下ろし港は、神戸港、横浜港、千葉港、鹿島港、水島港、名古屋港、清水港、四日市港、博多港、宇野港の10港。地元の方はぜひ、県などに調査を要請してみてください。また搾油工場でのこぼれ種調査も必要。なお、交雑しやすいGM作物にトウモロコシもあるが、未調査で、影響が気にかかります。
セイヨウナタネは近縁種のカラシナとの交雑が起こります。カラシナは十字架植物のダイコンや小松菜、ハクサイなどと交雑します。いずれ組み換え遺伝子が野菜から検出されるようになるかもしれません。
カルタヘナ議定書
遺伝子汚染に関するカルタヘナ議定書が今年2月に発効しています。日本政府はどう対応するのでしょう。8月11日に茨城ネットワークとともに農水省で交渉を行いました。農水省は植物油協会に要請し、現在、輸送中のこぼれ種をふせぐ密閉容器への切り替えを行っているといいます。
しかし、積み下ろし作業でこぼれ、周辺に広がる場合への対応はありません。栽培作物への遺伝子汚染の広がりについては、栽培作物種子は種苗会社が種子管理したものが毎年購入されているので、交雑したものが採種され、撒かれて広がる心配はないとの見解。自家採種に取り組む有機農家がリスクを負うことへの考えは持っていないらしいです。
さらに交雑があることを前提に、生物多様性に悪影響がなければよいという考えを示しました。除草剤耐性の自生ナタネは、除草剤をかければ枯れないが除草剤がかけられなければ普通と同じで悪影響はなにもないといいます。
抗生物質耐性遺伝子はどうだと聞くと、多様性への悪影響が明らかにならない限り、問題ではないといいます。明らかになってからでは時すでに遅しで、取り返しがつかなくなることもあり、だから「予防原則」がいわれるのではないですか。そもそも遺伝子汚染そのことが多様性を損なっていると考えて防止しなければならないのではありませんか?
悪影響がないという政府の認識に、目に見えない微生物への影響は無視されています。微生物の変異は生態系の連環の中で最後には大きな変化を起こすドミノの始めになることに気がついていません。
ミツバチの腸内微生物が花粉の中の抗生物質耐性遺伝子を取り込んで、感染病防止で投与される抗生物質が効かなくなることが起こっています。こうした片隅の情報のなかに重大な問題性が潜んでいる気がしてなりません。
遺伝子汚染の広がりを防止する方法はナタネ油の不買、ボイコットしかなさそうです。
(2004/8/19)