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カリフォルニア州がGMイネ生産計画を凍結


UPI 2004/4/11より

カリフォルニア州は、薬理成分を含むGM米の生産計画を凍結しました。主な要因はカリフォルニア米の主要な買い手のひとつである日本米穀小売商業組合連合会(JRRA)からの反対でした。この米は、ベントリア・バイオサイエンス社が5月1日までに植えるのを望んでいた、米国で最初の製薬産業で使用される遺伝子組み換え作物となるはずでした。

このGM米は下痢など感染症(低開発国の5歳以下の子供の主要な死因である)を治療するために使用される医薬用のヒト・タンパク質──母乳にも含まれているラクトフェリンとリゾチーム──を含むといいます。

しかしながら、カリフォルニア州2,200人のコメ農民の多くは、GM米が通常の米を汚染する可能性や輸出が困難になることに懸念を持っていました。カリフォルニア米の多くは、日本へ輸出されますが、JRRAの反対のメッセージはインパクトとなったようです。

JRRAの手紙―Californians for GE-Free Agriculture (www.calgefree.org)から

私たち、日本米穀小売商業組合連合会は、遺伝子組み換え米について提案されている商業化計画に関する意見を以下のように述べたい。

日本の米卸し売り業者および小売り業者の立場から、米国の遺伝子組み換えではない従来の米についてGM米汚染がないことを保証するのは実際に不可能であると私たちは思う。米国のGM米の商業化が日本の消費者の間で米国の米全体に対する不信を喚起することは確かである。あなたがたが知っているように、ほとんどの日本の消費者はGMの作物にとても否定的に反応する。GM米が米国で現実に商業化される場合、私たちはすべてのカリフォルニア米を日本へ輸入しないために必要な手段を取るよう日本政府に強く要求するであろう。

日本米穀小売商業組合連合会会長 ハセベ・ヨシミチ

安田コメント

薬成分を含むGMイネが普通のイネを汚染するだけではなく、流通過程で普通のコメに混入することは避けられないでしょう。病人でもないのに薬入りのコメを食べるとなれば健康上の脅威となります。政府の責任は重い。商業化されたら日本はすべてのコメを輸入できなくなるのは当然のことです。開発者は相変わらずニーズは低開発国の人たちというが、自分たちの国で望まれないものを途上国に使用するという傲慢な押し付けはいい加減に止めたらどうかと言いたくなります。薬成分生成のGM作物は米国農業のアキレス腱になっています。

(2004/4/18)

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