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【クローン牛肉】米国が体細胞クローンを容認 日本への影響


米国FDAがクローン問題無しと発表

10月31日、米国FDA(食品医薬品局)が、体細胞クローン技術を用いた家畜の肉、乳製品などは、通常の食品と同様、安全性に問題はないとする報告書をまとめました。販売する場合、クローンという表示も不要との見込みです。

FDAは、これまで安全性評価が不十分だとして、クローン家畜やその後代種の肉などの商品化には慎重でした。しかし、昨年、米国科学アカデミーが、クローン家畜の食品にリスクは認められないとの報告書を出したことを受けて、方針転換しました。来年以降、クローン家畜の商業化に向けた動きが加速するとみられています。

ブッシュ政権に巻き込まれる日本

あからさまな産業優先のブッシュ政権のもとで、米国の食品安全、消費者保護はどんどん後退しています。しかも、日本も無関係ではいられません。

日本は、米国から大量に牛肉を輸入しています。だから米国が体細胞クローン牛肉を認めれば日本も認めよ(そうしないと輸出できない)と追随を迫られるのは必至なのです。すでに農水省に容認に向けての動きがあります。

それだけにとどまらず、米国牛肉には米国だけで使用されている遺伝子組み換え牛成長ホルモン(BGH)注射の影響もあるのです。また、これまで米国では狂牛病は発生していないとして優位性を宣伝していますが、米国は狂牛病の発生があったカナダから、生きた牛を輸入しています。

迫る狂牛病の恐怖

日本政府はカナダからの牛の肉が混じらないよう要請しているといいますが、混入が完全に防げるのかは疑わしいです。今回日本で特定された9頭目の狂牛病感染牛は、肉骨粉禁止後に生まれ、しかもこれまで欧米では危険性はないとされた若齢牛でした。

狂牛病の発生メカニズムは依然未解明のままです。肉骨粉は狂牛病を広げる役目をしたのは確かですが、発生の原因には、近代畜産がもたらした農薬、ホルモン剤、飼料添加物の使用や飼育環境などが影響している説(英国農家マーク・パーディ氏など)もあり、米国で今後も発生はないとは言えないのです。

私たちがこのように規範を失った食物を口にしていると、健康のみならず、生き方、ものの考え方も規範を失っていくような気がします。

(2003/11/9)

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