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ブラジルが1年間のGM作物生産許可


サンパウロ、John Vidal and Gareth Chetwynd ガーディアン紙9月26日より

ブラジルはGM作物に抵抗する最後の大国だが、昨日環境保護活動家たちの希望を打ち砕き、米国とブラジルの大農家たちの圧力に屈し、彼らが少なくとも1年間はGM生産を可能にする許可を与えた。

翌日、グリーンピースブラジル、ブラジル緑の党、および非政府組織のグループは、この決定を法廷でくつがえさせるために準備にとりかったと発表した。

先端技術で遅れをとらないことを切望すると言った農務省高官が支持したこの決定で政府はふたつに割れた。

GM食物の反対派はルラ・ダシルバ大統領の明らかな方向転換に失望した(大統領の労働党(PT)はGM作物に反対していた)。

リオ・グランデ・ド・スル州の農民たちは数年にわたりアルゼンチン国境を越えて大量のGM大豆種子を密輸していたため、これは1年間の緊急対策として提出された。

政府は、半月後に始まる植え付けシーズンを前に彼らに従来の種を買わせる見込みがほとんどなかったことを認めた。

GM会社モンサントは現在、違法にその種を栽培していた農民たちから年に最高1億ドル(6200万ドル)まで取り立てを増加する可能性がある。なぜなら、6億ドル以上も、GM種子作物開発とブラジルの種会社の買収に費やしからだ。

モンサントは最近、今年の収穫大豆ついて、農家にロイヤルティの請求を始めるであろうと発表した。米国の生産者たちは、長い間、ブラジルの農家の多くがロイヤルティを支払わない闇のGM大豆で不公平な利益を得ていたと不満を述べた。

カリン・シルバーウッドコープ(NGP「GMなしのブラジルのためのキャンペーン」コーディネーター)は、「生産禁止の解除はモンサント社の勝利になる」「当局は、禁止法を実行する代わりに、大農家が自分たちの利益のために押し付けた条件を受け入れた」と批判した。

熱心なGM推進者であるアメリカ大豆協会の会長ボブ・カラナンは、以下のように述べた。

「われわれは長い間違法なGM種を生産させているブラジルにイライラしていた」「この決定は、モンサントがその料金を徴集し、EU諸国がブラジル食物をGMではないふりをして買うのを終わらせるためのステップになる」。

安田節子によるコメント

ブラジルの組み換え大豆作付け禁止を事実上無効にする、違法作付けのひろがりと、米国や国内大農家の圧力に屈し、ブラジル政府は組み換え大豆生産を認めてしまった。

この機を待っていたのがモンサント社です。これまでブラジル農民に組み換え種子をばら撒いてきた裏の立役者といわれています。

モンサント社は、おそらくただか、ただ同然でGM種子をブラジルに持ち込ませていたのでしょう。やむなく政府が禁止を一時解いたとたん、今度は組み換え種子(特許種子)無断使用を理由に、損害賠償金取り立てに乗り出しました。

ブラジル農民は、まんまとそのわなにはまったとしか言いようがありません。禁止のときには、組み換え生産はないことになっているから、組み換え種子無断使用の請求はできません。じっとこの時を待ち、米国政府に働きかけていたと思われます。

また、公式に組み換え生産となれば、種子には特許料を上乗せして販売すると言っています。アメリカ大豆協会のカラナン会長の「モンサントは被害者で、ようやくその料金を徴集することができる」だなんて発言は笑止千万。よくもまあ、です。

モンサントの戦略、手口を見ていると、遺伝子組み換え作物というのは農家のためではなく、農家から搾り取るための道具なのかと思わされます。日本でのバイオ作物懇話会の組み換え大豆生産の活動にも、この意図が感じられるではありませんか。ブラジルの二の舞にはされまい。そしてブラジルの生産許可撤回の戦いにエールを!

(2003/9/27)

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