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パーシー・シュマイザーさん講演要旨


7月3日集会にシュマイザーさんが登場

7月3日「植えたらオシマイ!遺伝子組み換え作物の作付けを止めよう東京集会」が、千駄ヶ谷区民会館大ホール(280人参加)で開かれ、モンサント社と裁判で戦っているカナダの農民シュマイザーさん(72歳)の講演が行われました。以下は講演要旨です。

シュマイザー氏講演より

私は1947年から農家を営み、カノーラ、オーツ麦、豆を作っている。また、50年来カノーラの自然育種を行い、地域に合う耐病種子の開発者として知られている。かたわら、25年の間、公職(地域の首長や議員、連邦と州の農業委員)についてきた。

すでにGMOを導入したことでカナダ・米国で起こっていることを伝えたい。日本で作付けすれば同じことがおこる。

1998年モンサント社は私に対して、モ社のGMカノーラを違法に入手し、ライセンスなしで栽培したと特許侵害で告訴をしかけてきた。私と妻は、50年以上かけて作った種子がモ社のGMO種子で汚染されたのではないか、モ社が賠償すべきだとモンサントに立ち向かう決意をした。

2000年5月、連邦裁判所の予審が開始された。モ社は、どのような経緯、交雑とか、風か、虫か、蜂か、農家のトラックやコンバインからこぼれ落ちたかは問題ではなく、その畑にモ社の特許遺伝子が入ったものがあったという事実は特許侵害にあたり、モ社に所有権が移転すると述べ、この主張を認める判決が出された。

上告したが、二審でもモ社が勝訴。それで昨年11月最高裁に上告した。5月に受理が決まり、2004年1月に法廷が開かれる。これまでに2700万円を弁護士費用など訴訟に使った。この裁定はカナダ農民ならず世界の農民に影響するだろう。なぜなら、特許法は世界中で適用されるからだ。

GM種子を購入した農家には、モ社との契約書にサインが求められる。契約書は、農家の権利を剥奪する内容となっている。

  1. 自分の種子を使ってはならない。
  2. 毎年、モンサント社から種子を購入すること。
  3. すべての化学肥料、農薬をモ社から買わなければならない。
  4. 違反して、モ社から受けたことをマスコミにも友人にも話してはいけない。
  5. 年間1ヘクタールあたり、40ドルのライセンス料を払うこと。
  6. モンサント・ポリスが3年間畑にくることを認めなければならない。
  7. モンサント・ポリスに畑、倉庫、税金支払いの記録を見せなければならない。

GM種子を使っていない農家に、モ社から賠償請求書がある日突然届く。

それには、「GM種子を育てている証拠を持っている。農地の大きさに応じて○○万ドル支払いなさい。そうしなければ訴訟を起こす。この手紙のことを誰にもいってはいけない。」と書いてある。脅しの手紙に全文掲載。

「近隣農家がライセンスなしにGM生産しているようなら、モ社に通報してください。通報したら皮ジャケットをプレゼントします」といったモ社のパンフ・広告が撒かれている。通報を受けると2人のモンサント・ポリスがやってくる。「訴訟になると、農場は残らないぞ」と脅され賠償金が取られる。

農家は相互不信に陥り、コミュニティが崩壊してしまう、これが一番問題だ。これは、農家が怯えきってモ社に反抗しないようにするためだ。多国籍企業は政府を超えて農民を支配する存在になる。

私はこうした農民からたくさんの相談を受けている。農民の人生を奪っていくことが、GM導入の時には知らされていない。

導入して2,3年後に起きたことは

  1. 品質が悪い
  2. 収量が、大豆では15%減
  3. 農薬の使用が3倍に増え、スーパー雑草が現れた
  4. 純粋な種子が汚染され、カナダにはGM汚染されていないものはなくなり、有機農家はもう大豆とカノーラは栽培できなくなった。
  5. 市場を失った。

北アメリカで、農民に対してモ社は550件もの訴訟を起こしている。それらがこの一人の農民対巨大企業との戦いの判決を待っている。

昨年12月カナダ最高裁で、高度生命体には特許は認められないという判決がでた。農民の所有権と大企業の知的所有権のどちらが上にあるかの裁定が下されるだろう。

(2003/7/8)

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