米国はイラクでGM小麦を栽培させる??
イラクへの経済制裁の結果
イラクのクウェート侵攻に対する湾岸戦争の結果、国連安全保障理事会はイラクに経済制裁を課しました。この結果、イラク国民が極度の経済疲弊にみまわれ、伝染病と飢餓による差し迫った崩壊に直面している実態を視察した国連は、人道支援のために1991年「食糧のための石油計画the UN oil-for-food programme」を採択。イラクに一定の原油輸出を認め、この代金でイラク国民の生活の必要を満たす物品輸入を認めました。
米国に加担した国のみ?
この「食糧のための石油計画」により近隣アジア諸国がイラクに食糧を輸出していましたが、今度の米英のイラク侵略戦争の結果、イラクの石油代金を使った食糧購入は、米国に加担した国だけに認める懸念が出ています。
インドからの情報(4月6日Ashok B Sharma氏の記事"India Fears Its Wheat Exports May Be Ambushed By War")によれば、国連のこの計画に基づきイラクに小麦を輸出していたインドの小麦輸出業者らは、米英軍がバグダットへ侵攻する事態を前に、イラクとの今後の貿易に悲観的になっているという。
ここぞとばかりに組み換え食品が?
米国が支配する戦後に、米国や米国に加担した同盟国オーストラリアがインドに代わって主要な輸出業者となって現れ、また米国モンサント社が開発した遺伝子組換え小麦が、食糧需要の名目でイラクで栽培されるだろうとみています。
実際、イラク向け小麦を積んだインドの船舶は、湾内で立ち往生させられたままであるのに、オーストラリアからの小麦を積んだ船舶は支援名目に変更され、上陸を許されているといいます。
独占されるイラクへの食料輸出
イラクは年間およそ400万トンの小麦を輸入。 去年、国連「食糧のための石油計画」の下で360万トンを輸入しています。
またインドからイラクへ砂糖を積んだ船も足止めされたままです。イラク は同じく米を120万トンほど輸入しているのですが、その大部分はベトナムとタイからです。
両国の米輸出も、米国に睨まれたら阻まれるかもしれません。穀物自給率46%(1998年)のイラクの食糧輸入金額は大きい。ましてこの戦争により国内生産はふたたび落ちるから、輸入量は増えるでしょう。
米国は採掘可能埋蔵量世界2位のイラクの原油にからむ事業を、米国石油メジャーに握らせるだけではなく、その石油代金によるイラクの食糧輸入も米国支配下におこうとしているようです。国連「食糧のための石油計画」は今後どうなるのか危ぶまれます。
また、主権を奪ったイラクで、もしも懸念されているように組換え小麦を植えるならば、それはまさに人権と環境を踏みにじる侵略者以外のなにものでもありません。
(2003/4/15)