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米国新有機農産物表示規則が28日より始動


ワシントン発AP電 10月20日より

米国では有機食品の販売額は1996年35億ドルから1999年には40億ドルと着実に伸びている。米国農務省は有機食品表示規則を公表し、10月28日より発効する。有機食品には政府機関によってシールが貼られる。

シールは従来の殺虫剤と化学肥料、バイオ工学、抗生物質あるいは成長ホルモンを使わない生産を行っていると認証された農民によって栽培された食品であることを意味する。

完全に有機である生産物には「100パーセント有機」、95パーセント以上有機の場合は「有機」と表示される。シールは生産物に貼ることができる。

70パーセントの場合は「有機成分で作られている」、それ以下なら「有機的な成分を含んでいる」と表示されるが、政府の有機認証シールは適用されない。

この表示規則ガイドラインが甘いと批判する意見に、農務省が企業や生産者に生産物が遺伝子組換え作物由来の遺伝子を含んでいないかのテストを義務づけていない点がある。

この表示規則ではGM痕跡テストや検出された場合についてなにも触れていないため表示の信頼性の確保に問題がある。

安田節子コメント

米国有機認証基準で遺伝子組換えでないことが基準のひとつとなっているにもかかわらず、日本で米国有機認証大豆使用の豆腐から遺伝子組換え大豆のDNAが検出されています。

遺伝子組換え種子を生産する米国の種苗会社の圃場で、また生産農地で、普通種子と交配が起こり、遺伝子汚染が避けられないからです。

こうした現状を考えれば、有機食品表示にあたっては、生産過程だけでなく、収穫物のGM痕跡テストが必要不可欠でしょう。いずれにしても遺伝子組換えの栽培がなされると特に有機農業を害することは避けられません。

日本では今年、バイオ作物懇話会の生産者たちが組換え大豆の試験栽培を行ったり、また、組換えイネの実用化が一歩手前まで来ているなど、事態は重大な危機に直面していると思わざるを得ません。

一度遺伝子汚染を起こしたらもとにもどせない。元にもどせないことをしてはいけない。それは未来の世代に対する私たちの責任だと思います。

(2002/10/29)

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