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欧州議会が検出不能なGM食品・添加物・飼料に関しても表示義務付けを支持!


http://www.foe.co.uk/(英国地球の友)から

先に欧州委員会が、検出不能なGM食品・添加物・飼料に関しても表示を義務付けるよう勧告したことに対して、7月3日欧州議会で投票が行われた。

環境保護団体対バイテク企業や英国・米国政府からの激しい要請の結果は、消費者や農民の選択権を強化する結果となった。昨年12月のユーロバロメーター調査によると94%の人々がGM食品の表示を求めているという結果だった。

欧州議会の投票結果を受けて認可手続きは欧州閣僚会議に付託される。

▼欧州議会の決定

  1. GM作物から作られたすべての食品に対する表示とトレサビリティ(追跡可能性)
    ・いままでの欧州法律では、義務表示は組み換え遺伝子あるいはその産物のタンパク質が検知可能なものに限られていた。
    ・しかし今回の全面表示支持によって検知が困難なGM大豆やGMトウモロコシから作られた、例えば油やシロップなどを含む3万種におよぶ食品にも表示がされる見通しとなった。
    ・追跡可能性も合わせて要求される。
  2. GM動物飼料に表示
    ・これまで表示義務がなかった家畜飼料にも表示が必要
  3. 未承認のGM食品の混入は認めない
  4. GMの混入0.5%以上から表示
    ・EU委員会はこれまで食品や飼料へのGM混入1%以上から表示義務(1%未満の混入なら表示免除)とする提案を行っていたが、欧州議会はこれを0.5%に引き下げた。
    ・より厳しくなったとはいえ、現在検知技術としては0.1%が普通であり、多くの小売り業者は0.01%まで検知が可能。
    ・混入は本来認められないことなのだから検出限界値以下とすべきだろう。
  5. 「GM不使用」表示は認めない
    ・バイテク企業と英国政府は「GM不使用」表示を要請していたが、これはGM不使用食品のコストを引き上げ、これまで消費者が選んでいた食品に高いお金を払わせることになる。
    ・欧州議会はこれを支持しなかった。
  6. 畜産物のGM表示は3票差で否決
    ・GM飼料を与えた家畜からの、例えばミルク、肉、卵というような畜産品の表示は3票差(258─255)で否決された。

安田節子によるコメント

これは消費者運動の大きな勝利です。

来年には法律となって施行される見通しですから、米国を中心とする組み換え作物生産国の欧州向け輸出はほぼ絶望的でしょう。

世界最大の大豆生産国である米国では、2002年生産の大豆の75%が組み換えとなっています。それらが日本を始め中国やアジア諸国、アフリカなどへ大量に輸出されるのは必至です。

欧州の快挙を追い風にして、私たちも日本政府に全面表示(油や醤油、シロップ、飼料、食品添加物、種子など)やトレサビリティをいっそう強く要請していきましょう。

(2002/7/5)

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