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ベルギー政府が遺伝子組み換えの試験栽培の破壊を要求


ヘラルド(英国)6月20日 by DAVID ROSSより

バイテク企業の Aventis社 は昨日ベルギー政府により、汚染の危険があるため遺伝子組み換えナタネの畑を破壊するよう命令された。そしてスコットランドのAventis社の経営責任者は汚染を調べるよう要請された。

ベルギーがAventis社に対して行動を取ったのはGM作物と従来の作物との距離が不十分であったからだ。

スコットランド国民党(SNP) は今、環境・地域開発大臣、Ross Finnieに対し、スコットランドでのこの企業の試験栽培地、Black島の悪名高いMunlochyに播かれたGM作物を、企業に破壊を命じるよう求めている。

影の環境大臣Bruce Crawfordは「スコットランドでこの農作物を栽培しているのはベルギーと同じAventis社だ。危険はここにおいても完全に同じだ」と言った。

「欧州法の下で、ベルギーは農作物の破壊を命令する権限を持っている。そしてスコットランドも同じであり、Ross Finnieも今同じことをするべきだ。迅速にしないならば、環境を損ない、スコットランド農業をリスクにさらすことになる」

これに対してスコットランドアベンティス社のスポークスマンは昨夜

「ベルギーの政府の仕事はベルギーでのGM規則の遵守だ。 スコットランドで、我々はGM農作物に対する予防措置をとっている。万一花粉の交雑の危険性があると判断すればそれを防ぐ措置を取る。スコットランドでのGM農作物の分離距離は我々の専門家のアドバイスに従っており、それはこれまでの何年もの実際的な経験の上に基づいている」

全党健康と共同体ケア委員会はGM試験栽培に反対する4000人以上の署名に続き、昨日GM農作物によって引き起こされる可能性のある健康影響に関する調査を行うことを決めた。

影の保健相は「これまでの調査は主にGM農作物の環境の影響に集中したが、私は公衆衛生に与える可能性について一層注意深く見る必要があると思う」と語った。

http://www.theherald.co.uk/news/archive/20-6-19102-23-11-38.html

安田節子によるコメント

同じ欧州法のもとにあるとはいえ、自国のみならず、他国での活動にも不法を許さないというベルギーの対応には学ばされます。

これまで農薬でも化学物質でも、有害とわかって自国内で規制となると、企業は今度は規制の弱い途上国で製造・販売するようにしていました。

しかし本来、有害なものはどこの国ででも作ったり販売してはいけないのです。

遺伝子組み換え作物は先進国で締め出されつつあるので、バイテク各社は今度はターゲットを途上国に向けていますが、どこにおける汚染も地球汚染であって、許してはなりません。

(2002/06/26)

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