アフリカは世界のゴミ箱として取り扱われる──組み換え食品と種子の食料支援
2002年6月10日「ネイション」から by John Kamau
欧米のメディアはムガベ大統領のバッシングキャンペーンを展開しているため、本当に重要な課題が何なのか混乱し、その決定も軽視されている。
その最新の事例がハラレの戦闘による飢餓の救援物資として米国が贈った遺伝子組み換え食品を、ジンバブエが拒絶したことである。
欧米のメディアによれば、食料援助を拒絶して国民を殺す事をムガベは望んでいるという。
ほとんどの地域(何千というジンバブエ人や他の南アフリカの人々)が干ばつによる飢饉によって疲弊していることは事実である。しかしこのような状態を利用して、飢えた人々の上に遺伝子組み換え食品をどさりと落とすような者はだれであれ、アフリカ人だろうが、ロシア人あるいは英国人であろうが、それこそ本当の敵である。
なぜそうなのか。
遺伝子組み換え食品の多くは先進諸国で拒絶されてきた。リスクを引き起こす懸念があるため、それを食べる誰もがわかるように表示しなければならず、遺伝子組み換え(GM)食品について人々を啓蒙するキャンペーンが広がっている。
そのような食品をなぜアフリカ奥深くの飢えた共同体に与えるのか?
一部の「賢い」人々が「食物にかわりはない」と言うかもしれない。しかし我々は飢えてはいても、モルモットにされるのは耐えられない。
アフリカを誘惑する試み
我々がGM食品について知っていることは、我々は副作用についてなにもわかっていないということだ。もし誠意をもって食物を贈ろうとするなら、それはフランケンシュタインの実験の産物ではなく、本当の食物であるべきだ。
先進諸国がこのような食べ物を捨てるために第3世界の災難を利用するのは、これが最初の事例ではない。
南アフリカの"Biowatch"によれば
「アフリカは世界のゴミ箱として取り扱われる。テストされていない食物と種子をアフリカに与えるのは、親切な行為などではなく対外援助によってこれまで以上の依存へとアフリカを誘い込もうとするものだ」
インドでは2000年のオリッササイクロン直後の「援助食料」が、高い割合で遺伝子組み換えであったことを環境保護の活動家らが見つけている。
このことで、卓越したインドの環境保護主義者Vandana Shiva博士は、米国はバイテク企業のための海外市場を作るために、この100年の間でもっともひどいサイクロンの犠牲になった人々をモルモットに使ったと、米国を強く非難した。
1999年から2000年の間におよそ50万トンのトウモロコシとトウモロコシ製品の30パーセントが、米国の国際開発局USAidによって"食料援助"に使われた。
「世界食料計画」を含む機関の食料援助用に、米国国際開発局(USAid)の当局によって米国アグリビジネスとの契約のもと入手されたのは、余剰のGM穀物ストックだった。
多くのアフリカ諸国はGM食品に関するなんの政策も持たず、これらの食物はいかなるテストも受けることはない。
最近、ケニアの Bonaya Godana 農業大臣は、遺伝子組み換えは打撃的な悪影響を持つとの懸念を持ち、規制する政策がないままでは国民を危険にさらす事に気づいて、この技術の施行を管理する政策に取り組むと述べた。
食料援助として受け取る物が何なのか、我々は特に慎重に構えなければならない。援助という名目があれば何でもこっそり持ち込むことができるのだから。
スーダンで、期限切れの薬が大きな支援物資の中に見いだされたり、危険な薬がすでに南スーダンで供給されたりしている。
同じく英国は危険性が明らかになったBSE感染の恐れがある飼料を第3世界に何万トンも送ったことが知られている。
英国政府が肉骨粉から作られた飼料がBSE流行のおそらく原因であろうと認めた1988年3月以降に肉骨粉は輸出された。
その年の7月、政府は英国ではその使用を禁止し、1週間後に欧州連合には公式にその懸念を通知している。
しかし肉骨粉を世界的に輸出禁止したのは8年後の1996年であった。そのときまでに大部分の貨物は第3世界へ運び出された。
規則の不正操作と二重標準
「不正に操作された規則とダブルスタンダード」と題された最近のオックスファム(Oxfam 国際環境保護団体)報告は、世界輸出におけるアフリカ、ラテンアメリカ、東アジアと南アジアのシェアがほんの1パーセント増える貿易ルールが適用されるだけで、1億2800万人の人々が貧困から脱出できると述べる。
そうであれば、アフリカでは、援助と負債軽減で受けている額の5倍、1000億ドル以上が生み出されると、オックスファムは指摘する。たった1パーセントの割増しを得るだけで、我々は自分達の食物を買うことができる。
しかしこうした貿易政策は二の次にされたままだ。
GM作物とは、工業国の偽善の一部であることを理解しなければならない。
彼らはこれまで1日15億ドルの助成金を彼らの農業関連産業に支給してきた。
そして余剰は、世界マーケットの中に投げ入れられ、それが価格を低下させ、ローカルなマーケットを破壊していく。もし小麦がケニアに投げ入れられれば、 Kitale の農民たちは彼らの農場を捨てざるをえなくなり、我々はGM作物を輸入し始めることになるだろう。
ジャマイカに欧州連合の余剰ミルクが投げ込まれ、ローカルな搾乳場の産業が損なわれていった。間もなく、ジャマイカ人はヨーロッパからミルクを輸入し始める。
また、米国がハイチに援助の米を投げ捨てたことで、何千という貧しい米農民が土地を失った。
GM食品に対するヨーロッパの消費者の広範囲の拒絶が継続する中、アフリカは、こうした余剰の穀物が食糧援助として輸入されないように、アフリカ自身を守らなくてはならない。
http://www.nationaudio.com/News/DailyNation/10062002/Comment/Comment1.htmlより
安田節子によるコメント
アフリカや東南アジアの貧しい国々への支援物資として、先進諸国で売れなくなったやっかいな物を押し付けるという構図は変わっていません。
実に恥ずかしいことです。GM食品とはやっかいものであり、それを食べたいと望むような人々はどこにもいないということを開発企業は認めて、方向転換をはかるべきです。
(2002/06/27)