タイトル 「食政策センター ビジョン21」主宰の安田節子公式ウェブサイト/
リンクは自由です(連絡不要)/お問い合わせは管理者まで

安田節子ドットコム

GM(遺伝子組み換え)汚染がメキシコで広まり、科学者たちはトウモロコシの多様性の劇的減少を危惧


2002年6月9日英国発 By Nick Miles (メキシコのBBC 通信員) http://news.bbc.co.uk/hi/english/world/americas/newsid_2034000/2034512.stm より

6月10日より国連世界食料サミットが始まる。

ここで緊急課題となるのは南アフリカの飢饉と遺伝子組み換え作物品種の広がりである。

メキシコからの最近の報告によると、遺伝子組み換えトウモロコシの栽培を凍結しているにも関わらず、メキシコにある何千ものトウモロコシの遺伝子起源は、GM品種によって汚染されてしまったことが示唆されている。

最もひどく汚染された地域はオアハカで、そこではトウモロコシサンプルの4分の1がGM陽性と出た。

この地域は何千という小農家が住んでいる。中央山脈の高いところに住むそうした農民のひとり、Olga Maldonadoは、 40メートル四方のごく小さなトウモロコシ畑からかろうじて家族のための食物を得ている。

「トウモロコシは我々の生活様式です。トルティーヤと濃いスープといった、我々が食べるものの大部分はトウモロコシから出来ます」

とオルガはいう。

けれども6カ月前に、彼女の畑が遺伝子組み換えコーンによって汚染されているというテスト結果が示され、彼女はショックを受けた。

このトウモロコシをいつも食べている子供達の健康について、彼女は心配している。

ここからちょうど10マイル下方にハイテク研究所があり、海外から持ち込まれたトウモロコシサンプルをテストしている。

ここでメキシコの向こうから来たトウモロコシサンプル中に、広範囲にわたるGM汚染を見つけた。

「4年前にGM作物の凍結がなされたにもかかわらず、多くのGM品種が網をすり抜けた。」

と研究所に勤めるJuan Martin は言う。

「メキシコのトウモロコシは米国からの輸入トウモロコシによって汚染されたと我々は確信する」

と彼は言う。

「輸入トウモロコシは食用として輸入されたことになっているが、農民たちは知らずに自分の畑に播いた」

この問題に関してメキシコの州と連邦政府は互いに責任を擦り付け合い、GM汚染の重要性について認識しているとは思えない。

「もしGM汚染があるなら、それはまったく政府の失敗のためではない」

とメキシコ農務省の報道官は言う。

「我々はいくつものキャンペーンで農民に、輸入のコーンは種子として使ってはならないと伝えてきた。」

「これまでの4年間我々はこの汚染が起きるかもしれないことを完璧に農民に知らせてきた」

しかしながらそれが起き、GM妖精は今ビンの外だ。GM作物を食べた場合の健康リスクを証明する、広く一般に受け入れられた研究がないうえ、おまけに環境保護主義者は、多くのGM品種が害虫に殺虫剤耐性を持たせるようになっているといっている。

植物学者のBoone Hallberg は、

「また、メキシコのトウモロコシ品種の多様性を徹底的に減少させ得る」

という。

「これまでどこかでウイルスでダメージを受けるようになった時、ここにくればウイルスに耐性の品種を見つけることができていた。GM汚染がすべてを変えるだろう。ここにある何千という多種多様な品種は永久に失われるであろう。世界の食物保全を脅かしながら」

安田節子によるコメント

メキシコのトウモロコシ汚染の問題を、日本の遺伝子組み換えイネ問題に引き寄せて考えてみてほしいと思います。

この記事は、安易に輸入や試験栽培をすることが、何を引き起こすかを示唆しています。

7月に名古屋で開催される組み換えイネ反対集会に、皆さんも是非ご参加を!

(2002/6/13)

[INDEX][遺伝子組み換え食品目次][遺伝子組み換え食品コラム・目次]

©2000 Setsuko Yasuda All rights reserved.