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Btトウモロコシが豚の繁殖問題に関連か


by Jim Riddle Rt. 3 Box 162C Winona, MN 55987 2002年5月20日Winona 発

2002年4月29日の新聞に、アイオワ農務局報道官が書いた遺伝子組み換えの Btトウモロコシの給餌と関連する雌豚繁殖に関する驚くべき物語が載っていた。

記事によると、Iowa州 Shelby郡の農民Jerry Rosmanは、彼の飼っている雌豚群の子豚の出生率が80パーセント近く急落して驚かされたという。

子豚の出産には30年もの経験を持つRosmanは、通常の疑わしい原因のすべてを念入りに再チェックした。病気はなく、人工受精の方法は的確になされたし、栄養のプログラムも検証されたが何も問題は見いだされなかった。

最終的にRosman は、彼の農場の半径15マイル以内の他の4軒の農家が飼っている群れも、まったく同じ偽妊娠であることを知った。

それらの群れは異なった管理方法、異なった繁殖方法、異なった種の豚であった。

Rosman によると、共通因子は、すべて、同じBtトウモロコシを餌として与えるオペレーションをしていたことだった。

研究室のテストで明らかになったのは、それらのトウモロコシが高レベルの フザリウム菌のカビを含んでいたことだ。

研究者らがFusariumを4系統のタイプに分けたが、それらのうち二つ(Fusarium subglutinans と Fusarium monlliforme)がすべての生産者のサンプルに共通していたとRosman は言う。

生産者の1人は、その後通常の非 Bt のトウモロコシにもどした。すると 偽妊娠はもはやその群れの問題ではなくなった。

完全に同じ商標の遺伝子組み換えの Bt トウモロコシを彼が植え、そしてそのトウモロコシを家畜へ100パーセント給餌した彼の農場が、問題そのものを明示しているとRosman は確信する。

記事によれば、 Rosman は今年なんらかのトウモロコシを彼の土地に植えるかどうかは決めていないという。

農学者は、トウモロコシと大豆の通常のローテーションでは、彼のトウモロコシ畑を汚したどのような遺伝子も取り除けないかもしれないと彼に 語った。

2002年5月13日の続報で、アイオワ農務局報道官によるRosman の記事が出たすぐ後に、Rosmanは電話の洪水を受けた。

先週末までに彼は全米各地の12人の生産者から、彼自身と細かい状況が大変似ているという電話を受け取った。電話は主に Rosman のように彼ら自身が生産したトウモロコシを餌としている小規模農家からで、最近出生率が急激に低下したことを告げていた。

Rosmanの記事は、Iowa 州Winterset の東で農業をしているNorm Smith の興味をひき起こした。

Smithは彼が去年の春に初めて植えた新品種のトウモロコシを給餌し始めて 数週間以内に繁殖問題を経験し始めたと言う。

「私は昨年9月に Bt トウモロコシを給餌し始め、30日間それ以外の餌はなにも手に入れなかった」とSmithは言い、加えて彼の兄弟も類似の問題に遭遇したと言っている。

報道官の記事は、遺伝子組み換え作物は適切なテストなしでマーケットに急いで運ばれたという事実を明示する。

これらの(GM)農作物について家畜や人間の健康に与える長期の影響の試験は義務ではなかった。

例えば、Bt トウモロコシを管理するEPAは、この作物がそれを食べる動物の生殖システムにどのように影響を与えるか決定するテストを要求していない。

さらに、Bt コーンから生産されるような遺伝子組み換えの原料は、今、一般の食べものにも見いだされる。

ブッシュ/クウェイル政権によって1992年になされた政治的決断によって、遺伝子組み換え食品は、分離されたりラベルを貼る事は要求されないことになった。

トウモロコシ、大豆、ナタネ、綿実を原料に含んでいる食べものを食べている誰もが、巨大な、針路のない環境実験の無意識のモルモットになっている。

安田節子によるコメント

BTトウモロコシは、殺虫成分のBT毒素を生産する組み換え品種ですが、これとフザリウム菌の汚染にどのような関係性があるのかないのか、また豚の出生率低下が餌のBTトウモロコシそのものの影響なのか、フザリウム菌とこれが増殖し易くなった(?)BTトウモロコシとの複合作用なのか、今後これらの解明がなされなければなりません。

いずれにしても、家畜が食べた場合の影響評価をまったくしないまま、商品化を進めたことへのつけが出始めています。

日本は、家畜飼料用に大量のBTとうもろこしを米国から輸入してます。日本独自に給餌リスクをきちんと評価する必要があると思います。

そもそもGM作物は、政治的に商品化したものであり、科学的に安全性が確認されたから商品化されたのではないということが問題です。

(2002/6/4)

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