ベルギーが、アベンティス社の遺伝子組み換え作物の試験栽培認可を拒否
ロイター ブリュッセル発2002年4月29日
ベルギー保健省は4月29日、ベルギーで遺伝子組み換えの除草剤耐性ナタネの野外栽培実地試験を行いたいとするアベンティスクロップサイエンス社に認可を与えることを拒否したと発表。
保健相 Magda Aelvoet は記者会見で遺伝子組み換え作物が環境中に広がるリスクはあまりにも大きすぎること、加えて最近、欧州環境庁がナタネの花粉がミツバチによって4キロもの距離を越えて運ばれ、数日も生き残っていたと報告、組み換え植物の遺伝子拡散はまことに現実的なことなのだと述べた。
しかしながら同時にフランコ-ジャーマン製薬はベルギー国内の温室で行う害虫抵抗性トウモロコシの実験許可証を取得。他の会社による2つの野外栽培実験 ──ウィルス抵抗性シュガービート(テンサイ)と除草剤耐性チコリ──も認可された。
オランダ企業による耐病性リンゴの実験要請は拒否された。
安田節子によるコメント
ナタネの遺伝子汚染は各地で報告が相次ぎ、強く懸念されています。
他家受粉なので普通のナタネへの汚染も深刻でありますし、同じ十字花植物(あぶらな科)のダイコン、ラディッシュなどへも伝播しています。
カナダの農家が除草剤耐性組み換えナタネのあとにコムギを植えたところ、雑草化したナタネが生えてきたが、これが3種の除草剤すべてに耐性を持っていたといいます。
ナタネの花粉を集めたミツバチの腸内細菌へ、遺伝子が取りこまれた事例もあります。
ベルギー政府が組み換えナタネの栽培試験を認めないのは見識ですが、多かれ少なかれ、他の組み換え植物にも遺伝子伝播のリスクは存在します。
だから日本も組み換えイネに対して慎重に慎重に対応すべきなのです。
(2002/5/19)