遺伝子組換え食品の未来
立場の違いを考える
一番答えが難しいのが「この問題をどう解決するか」ですね。
まず、組み換え食品をめぐる立場にはどんな立場があるかを考えてみましょう。
- 開発者:
除草剤が売れること、特許料が取れる種であることなど利益があるから売りたい - 消費者:
組み換え作物をぜひ買いたい、食べたい、子どもにも食べさせたいと願う消費者はいない - 生産者:
宣伝どおり省力化できるなら魅力を感じるが、消費者が嫌うので売れなくなっては困る - 有機生産者:
組み換え作物の花粉によって汚染され有機認証を取り消されるリスクに さらされている。 - 環境保護者:
人類共有財産である生物多様性が組み換え遺伝子による汚染で害われていき、生態系が変化するなど強く懸念
さて、世界の政治家はどの立場に一番配慮すべきでしょうか。誰の立 場を守るのが一番必要でしょうか?
環境と生命こそが重要
私は、環境と命を守ることがすべてに優先すると考えます。
だから潜在的リスクを抱え、将来の影響に対する責任をとることができないものは世に出してはいけないと思います。(そういう意味では原発も同じです)
すべての組み換え生物の商業栽培はいったん凍結し、将来以下の条件を満たした場合にのみ、生産が認められるとすべきでしょう。
- 必要性があると社会的に広く受容されること
- 情報の公開と透明性のもとに各分野の十分かつ長期のリスク評価で安全性が保証されること
- 事故があった場合の現状回復が可能で、被害への全面保障の責任体制があること
- 組み換え作物だけ分離流通させ、生産地まで遡って特定できる遡及性(トレサビリティ)と全面表示体制をとれること
これを満たすことは当然なことのはずですが、現実にできないのなら、結論は凍結して世に出さない、ということになります。
(2002/1/29)