なぜ日本は曖昧な立場を取るのか?
なぜヨーロッパのように強く反対しないのか?
私の意見ですが、以下の理由があると思います。
1 欧州が慎重な対応を取る背景には、狂牛病の経験がある
当時、狂牛病は人には移らないと科学者や政府は説明していました。
しかし、そうではありませんでした。
科学者や政府への不信、科学の限界を知らされるなかで、経験のない新規の技術に対する予防原則がヨーロッパでの世論となったのです。
2 日本が強い規制を取らない、取れないのは米国との貿易関係があるため
現状では、コメ以外の穀物はほとんどが米国からの輸入に依存しています。
ダイズ、トウモロコシなど遺伝子組換えが真っ先に応用化された作物は、ほとんどが米国頼み。
これらに対して表示義務化や規制をすることは、米国から貿易障壁との非難を受け、WTO協定で規定している横断的報復措置を受ける懸念があります。
横断的報復措置とは、自由貿易協定違反が農業分野であっても報復は他の産業で行えるというものです。
例えば、自動車でもPCでも、高い関税をかけたりできるのです。
だから、日本政府は米国からの組換え作物に規制をかけることに対して自主規制してきました。
3 日本政府は米国同様のバイテク国家戦略のもと、特許競争に乗り遅れないよう、官民あげてこの競争に加わっている
そのため、慎重な安全性評価や表示が開発の足かせ、ブレーキになることを怖れているということもあります。
(2001/7/14)