タイトル 「食政策センター・ビジョン21」主宰の安田節子公式ウェブサイト/
リンクは自由です(連絡不要)/お問い合わせは管理者まで

安田節子ドットコム

 

2021年02月

【アピール】ゲノム編集トマト流通に反対する
2020年12月11日、厚生労働省と農林水産省はゲノム編集作物である株式会社サナテックシードから申請されたゲノム編集作物「GABA高蓄積トマト」の届け出を受理した。サナテックシード社は2021年春から家庭菜園で野菜などを作っている消費者向けに苗を無償で提供することや秋には生産者に種を本格的に販売し、22年春には市販される見込みとしている。

これは我が国において初めて人が摂取することを認めたゲノム編集作物となる。昨年政府はゲノム編集食品について食品安全性評価は不要、表示も不要と米国同様の無規制を拙速に決めた。

この度の「GABA高蓄積トマト」は全体の成分分析や動物に食べさせての実験もされず、これが市場に出るということはまさに人体実験が始まると言え、これに断固反対する。

サナテックシード社HPによると、昨年8月12日に、米国農務省動植物検疫局によって外来遺伝子を含まず規制の対象とならないと判断されたと記載している。米国のお墨付きを得た後、政府との非公開の会合を経て申請受理に至った。

サナテック社が主張する外来遺伝子を含まないとは、遺伝子組み換え農作物のように新たな性質を付与する目的で外来遺伝子は挿入しておらず、GABA生産を抑制する遺伝子をノックアウト(破壊)しただけのものとの評価だ。

しかし、問題はゲノム編集の過程でCas9遺伝子とカナマイシン耐性遺伝子、カリフラワーモザイクウイルス遺伝子が使用されたこと、またそれらが完全に除去されたという確認がないことだ。

EUはゲノム編集作物はその過程で遺伝子組み換え操作と同様に遺伝子を操作し、これら細菌やウイルス遺伝子も使用することからゲノム編集をGM同様の規制(安全性評価、トレサビリティ、表示)が必要とした。

ゲノム編集は未完成の技術であり、特にオフターゲットが避けられない。また標的DNAの修復過程におけるエラーなどが起きることがわかっている。その結果アレルギーや健康被害が起きることが懸念されている。

想定外の変異の存否を確認するには、ゲノム編集前と後のトマトDNAの全構造を比較分析するのが最も確実な方法だが、それを行っていない。

サナテックシードが米国政府のお墨付きを得て、高額な開発費がかかっているにもかかわらず、無償で苗を提供するということは、国産のゲノム編集トマトの市場投入で消費者に認知させ、消費者動向を情報収集し、この後に想定される米国からのゲノム編集作物の受け入れ体制を整えるという戦略に見える。

また農水省によればゲノム編集の後代交配種は届け出も表示も不要とのことであり、種子が日本で販売されても、農家はそれを知ることはできない。知らずに植えた結果、他の作物・植物に遺伝子汚染を引き起こせば取り返しはつかない。これを強く懸念する。

消費者も同様で知らずに食べさせられることになる。これは自分が生産するもの、食べるものは自分が決定する自己決定権を奪う。まさに「食の侵略」だ。

米国(多国籍アグロバイオ企業)に隷属するのではなく、我が国の食料主権のもと、人々の健康、環境保全のため、そして作物の遺伝子汚染を防ぐためにゲノム編集GABAトマトを流通させてはならない。

なにより農家を含む消費者の選択権を保障する表示は不可欠である。

「植えない、食べない、買わない」のボイコットで抵抗しよう!
2021年02月13日更新
▲最上部へ戻る
[HOME]>[節子の鶏鳴日記]>「2021年02月ログ」

YasudaSetsuko.comAll rights reserved.