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2020年12月

【要旨】岡田幹治氏講演:新型コロナパンデミックの真実

市民アクション・じょうえつ語り合いの集い第10回
2020年11月15日

T 新型コロナパンデミックとはどんなものか
  1 ウイルスとは
2 新型コロナウイルス感染症とは
  3 免疫とは
U 新型コロナパンデミックにはどんな問題があるか
1 「PCR検査の陽性者」=「感染者」ではない
2 死者数が過大に発表されている
3 「指定感染症」のままでいいのか
V 新型コロナ対策で大変なことになっている
1 対策には科学的根拠がないものも
2 対策による被害はきわめて大きい
W 新型コロナはワクチンで解決できるのか
  1 政府の方針
  2 本当に安全で効果があるのか
  3 任意接種にすべき
X 10年前にどんなことが起きていたか
1 新型インフルエンザパンデミック
2 大量に廃棄されたワクチン
Y どう対処したらよいか

こんにちは、岡田です。高校卒業の18歳まで高田で過ごし、今は実家はありませんがお墓もあり、親戚もあって、今日ここでお話しできることを大変うれしく思っています。
レジュメにありますように、今日は「新型コロナパンデミックの真実」と題してお話しします。報道されていることとは大分異なった話になると思いますが、どちらが真実か、皆さんにお考えいただければと思います。

T 新型コロナパンデミックとはどんなものか
まず、細菌とウイルスの違いからお話します。結核や百日咳などの病原体となる細菌は、自分で細胞分裂して増殖します。治療には抗菌剤を使います。

これに対して、ウイルスは「RNAまたはDNA遺伝子のかけら」が膜に包まれたもので、宿主細胞の中でしか存在できず、自己増殖は出来ません。病原性ウイルスに抗菌剤は使えず、人間の免疫力だけが頼りです。
細菌もウイルスも99%は人に害を与えません。病原体となるのはほんの僅かです。

コロナウイルスの大きさは細菌の50分の1、直径がわずか0.1?(マイクロメートル)です。不織布マスクの穴は5?ですから、スイスイ通り抜けます。

非常に沢山あるコロナウイルスのうち、人に感染するものとして確認されていたのは、風邪の原因になるものが4種とSARS(重症急性呼吸器症候群)、MERS(中東呼吸器症候群)のウイルスでした。そこに新しく新型コロナ(SARS-CoV-2)が確認されたのです。

新型コロナ感染症(COVID-19)は、気道感染症(風邪の一種)で、WHO(世界保健機関)が「ほとんどの感染者は軽症または中等症の呼吸器疾患を経験し、特別な治療を必要とせずに回復する」と公表しているように、過度に恐れる必要のない感染症です。

高脂血症・肥満の人は重症化する割合が高く、心疾患・腎機能障害・脳血管障害・慢性肺炎疾患の持病があると死亡割合が高くなるとされていますが、今では治療法が分かってきました。

新型コロナと季節性インフルンザを比較してみましょう。季節性インフルエンザの年間感染者は約1000万人、直接死は約3000人、関連死と合わせ約1万人、致死率は0.1%以下です。ワクチンはあるけれど予防効果はないし、治療薬も役に立ちません。タミフルは症状が出る期間を7日から6.3日に短縮する程度の効果しかありません。

一方、新型コロナ感染症はこの10ヵ月間で感染者(PCR検査の陽性者)が11万人弱、死者は約1800人です。致死率は国立感染症研究所の報告では、5月段階で7.2%でしたが、8月には0.9%に下がっています。最終的には0.1%程度になると予測する研究者もいます。

ワクチンはまだありませんが、「治せる病気」になりつつあります。

インフルエンザと新型コロナ感染症のダブル流行が懸念されていますが、それは来ない可能性が高い。なぜかというと、細胞は二つのウイルスに同時に感染しにくい性質があるからです。

ですから、この夏、南半球ではインフルエンザは流行しませんでした。日本でも、これまでのところ感染者はきわめてわずかです。

次に「免疫」についてお話します。人が病原体から身を守る生体防御には3種のバリアがあります。一つ目が皮膚や粘膜による物理的・化学的バリア、二つ目が血液中にある「マクロファージ」や「NK細胞」です。以上二つのバリアを「自然免疫」と呼びます。

第三のバリアが「獲得免疫」です。これには二つの種類があります。「B細胞」が抗体を作る体液性免疫と「キラーT細胞」による細胞性免疫です。

新型コロナウイルスで具体的に考えてみましょう。ウイルスが鼻の中に取り込まれると(これを「曝露」といいます)、鼻毛などのバリアで防ぎます。それを乗り越えたウイルスが細胞内に侵入し増殖するのが「感染」です。これを「NK細胞」などが殺せば、無症状で済みます。殺せなかったウイルスに対しては「キラーT細胞」などが攻撃します。そのときに発熱などの症状が出るわけです(これを「発症」といいます)。

免疫機能は学習します。また、再感染すると免疫機能が高まる「ブースター効果」もあります。

注意しなければならないのは、抗体には「悪玉抗体」もあることです。これができると、症状はかえって悪化します。「抗体依存性感染増強(ADE)」と呼ばれるものです。

免疫力の強さは人により、また体調によっても異なります。免疫力を高めるには、早起きして体内時計を狂わせない、運動で血流を良くする、ストレスをなくすなどが有効です。

ところで「集団免疫」という言葉を聞くことがあると思います。集団免疫とは、特定の集団や地域で特定のウイルスに対する(自然免疫と獲得免疫を合わせた)総合的な免疫力を持つ人が一定の割合に達し、その人たちが壁になって感染が拡大しなくなった状態を言います。

すべてのウイルス感染症は、このような状態になって収束することが、これまでの経験からわかっています。もっとも、この状態になっても、免疫力の弱い人は重篤になり、死亡する人もでます。ただし、死者は感染拡大期に比べ、きわめて少なくなります。

U 新型コロナパンデミックにはどんな問題があるか

第一の問題は、PCR検査が感染の判定に使われていることです。

PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)とは、DNA遺伝子を倍々に増殖する反応を連続して行ない、狙った遺伝子だけを増やす化学反応のことです。わずかなサンプルでも遺伝子を増やして検出できるので、犯罪捜査など幅広く使われています。

ウイルス遺伝子を2倍に増殖する過程を「1サイクル」といい、専用機器を使えば数分でできます。これを繰り返し、30サイクルにすると遺伝子は約10億倍に、40サイクルにすると約1兆倍となります。

PCR検査はサイクル数を増やせば、ごく少ないウイルス量でも陽性反応が出ます。20サイクルなら10万個以上ないと陽性になりませんが、30サイクルでは1000個以上で陽性になり、40サイクルにすれば、理論上は10個でも陽性が出ます。

PCR検査を新型コロナの診断に使うことには、重大な問題があります。その一つが増幅サイクルが多すぎることです。多すぎると、ウイルスの死骸でも、新型コロナと遺伝子配列の一部が似たウイルスでも、陽性になります。

従って新型コロナの感染を適切に判定するには、できれば25〜30サイクル、少なくとも35サイクル以下にすべきですが、日本は40〜45サイクルです(米国37〜40、台湾35)。その結果として、感染していないのに陽性判定が出る「偽陽性」が大量に発生します。

また、感染しているのに陰性判定となる「偽陰性」も発生します。つまり「PCR検査の陽性者」=「感染者」ではないのです。

ですから、日々発表される「感染者数(PCR検査の陽性者数)」に一喜一憂する必要はありません。検査を増やせば陽性者は増えます。

感染の状況を判断するには、「陽性率(検査数に占める陽性者の割合)」や「死者数」に注目すべきです。

次に、新型コロナの死者数が過大に発表されているという問題に話を進めます。

日本では、6月18日に厚労省が「新型コロナの感染がわかり、その後死亡した人は、死因を問わず、新型コロナで死亡として公表せよ」と通知を出しています。その結果、持病が悪化して死亡した人まで「コロナ死」として発表されます。

たとえば埼玉県では、新型コロナによる肺炎が死因の死者だけをコロナ死としていたのを改め、その時点で死者を13人増やしました。7月28日に鹿児島県で初の死者が公表されましたが、この方は基礎疾患があり、死因は新型コロナとは関係ありませんでした。でも新型コロナによる死者として国に報告されています。

このようにして政府は、新型コロナは怖い感染症であることを印象づけようとしています。

米国では、ロン・ポール研究所が重要な発表をしています、米疾病予防管理センター(CDC)が8月に発表した死者データを分析したところ、新型コロナが主原因の死者は全体の6%に過ぎなったというのです。死者の94%は平均2.6の重篤な持病を持っていました。

またスコット・ジャンセン上院議員の告発によれば、CDCは「新型コロナの疑いがあれば、死因をコロナと記載することが望ましい」と指導しています。新型コロナによる死亡とすると診療報酬が1万3000ドルになりますが、それ以外だと5000ドルです。

米国は国民皆保険ではなく、無保険者が2750万人もいます。こうした人は病気になってもまともに医療を受けられません。

新型コロナ死者の平均年齢をみると、白人は平均寿命より高いのに対し、黒人とヒスパニックは平均寿命より低いという結果になっています。

米国の新型コロナによる死者が世界一多いのには、以上のような背景があります。

死者が多いか少ないかは、その国の医療体制や社会情勢で決まる面が強いのです。

三つ目の問題が、新型コロナが「指定感染症」に指定されたままであることです。

指定感染症は感染症法上の分類の一つで、新しい感染症が発生したとき政令で指定されます。新型コロナ感染症は1月28日の政令で指定され、1類〜3類感染症に適用される措置のうち必要な措置が実施されることになりました。

ちなみに、1類に分類されているのはエボラ出血熱やペストなど、2類はSARSやMERSなど、3類がコレラや腸チフスです。4類にはE型肝炎や狂犬病など、5類にはインフルエンザなどが分類されています。

新型コロナは指定感染症に指定された結果、@感染者に入院や就業制限を勧告できる、A無症状感染者にも同じ措置を実施できる、B濃厚接触者に外出自粛などを要請できなのることになりました。つまり、新型コロナは2類ないし1類に相当する感染症とされたのです。

この結果、患者、疑似症患者だけでなく、「無症状の病原体保有者」(PCR検査の陽性者)まで入院や休業を要請されることになりました。

しかし、指定から10か月近く経ち、新型コロナウイルスがSARSやMERS並みの危険性を持つ感染症ではないことは明確になりました。指定感染症から外し、インフルエンザ並みの5類に分類し直すべきです。

指定感染症だと、感染者は全員、指定医療機関で診察して隔離する必要があり、これが医療の逼迫や保健所の業務過多をもたらしています。

また新型コロナは怖い感染症であるとの印象を与え、人々に行き過ぎた恐怖感を与えています。この結果、たとえば学校のすみずみまで消毒するとか、当たり前の弔いが出来ないとか不必要な対策が日々行われています。

いま人びとが恐れているのは、感染そのものより、感染者になったときの社会の仕打ちです。感染すると、一定期間隔離され仕事が出来なくなるうえ、周囲の人々を濃厚接触者にしてしまい、大変な迷惑をかけるからです。

行き過ぎた恐怖感が人びとを萎縮させ、経済・社会活動の足かせになり、自治体・企業・学校に過剰な対策を強いているわけで、このような状態を改めるには指定感染症を急いで解除することが必要です。

V 新型コロナ対策で大変なことになっている

いま政府や自治体が実施している対策には、科学的根拠がないものが少なくありません。様々な活動制限は基本的人権の制限であり、実施には科学的根拠が必要ですが、根拠がないものがあるのです。

たとえば、無症状の感染者は一定期間隔離することになっていますが、無症状感染者が周囲の人にうつすという根拠はありません。事実、WHOは「無症状者からの感染は非常にまれ」としています。

「非常にまれでも、可能性がある以上、無症状感染者も隔離すべき」と言われますが、これもおかしい。外出すれば事故に遭う可能性はゼロではありませんが、みんな平気で外出しています。事故に遭う可能性が「非常にまれ」であるからです。新型コロナについてだけ、なぜ「ゼロリスク」を求めるのでしょうか。

またマスクは、感染者がウイルスを含む飛沫を周囲に飛ばさないようするのには効果がありますが、周囲に人がいないようなときには意味がありません。

スウェーデンで新型コロナの指揮を執っている疫学者のアンデシュ・テグネル氏は「ロックダウン(強制的都市封鎖)は、壁にとまったハエを大槌で叩いて殺そうとするようなものだ」と言っています。大槌で叩けば家(経済や生活)が壊れてしまうということでしょう。

日本では政府・自治体が感染防止対策を実施した結果、広範囲に及ぶ被害が出ています。被害は経済・社会・生活・教育・文化にまで及んでいます。

消費の減少が原因になってGDP(国内総生産)が減少しました。飲食店などの閉店が急増し、関連の解雇や内定取り消しが続出しています。それも非正規雇用者が中心です。

人間には密接な関わり合いが必要なのに、それが減ったことが人々の心身に悪影響を与えています。社会を閉塞感が覆い、コロナ鬱が広がっています。

被害が著しいのが子どもや若者です。子どもは感染しにくく、重症者もきわめて少ないのに、休校続きで体力も集中力も低下しました。運動会や修学旅行も中止、給食中の私語禁止・外遊びの制限など、社会との関わりが減少し、ストレスがたまっています。保育の現場にも異変が起きており、大学生の1割がうつ状態だという報告もあります。

国がとってきた対策は高齢者・女性にも被害を及ぼします。高齢者は外出自粛で心身の活力が低下し、結果として要介護度が上がり、認知症が増加しています。

7〜9月の自殺者は昨年同期を超え、それも女性の自殺者が増えました。雇用削減やテレワーク、休校、リモート授業などで、さまざまな負担が女性にかかっているのです。5〜7月は妊娠届が減少しました。これは出生の大幅減という結果につながります。

新型コロナの感染による被害より、感染防止対策による被害の方がはるかに甚大になっているのです。

W 新型コロナはワクチンで解決できるのか

ワクチンができれば、新型コロナ問題は解決するように言われていますが、そんなことはありません。ワクチンに過度の期待を持ってはいけないのです。

政府は今国会に予防接種法改正案を提出しています。その主な内容は、@ワクチンを国が買い上げ、無料で接種する、A副作用被害に備えて救済措置を整え、メーカーの損害賠償を政府が補償する、B接種は国民の努力義務とするが、安全性・有効性が確認できない場合は適用しない――です。

ワクチンの開発は世界の製薬企業やバイオ企業が競っており、日本政府は米国ファイザー、米国モデルナ、英国アストラゼネカの3社と来年前半までに大量の供給を受ける契約を結んでいます。副作用被害が出たときは損害賠償責任を政府が肩代わりするという条件つきです(このうちファイザーのワクチンが12月に英米両国などで実用化が始まりました)。

新型コロナのワクチンについて多くの研究者は「拙速な開発・承認になっており、危険性がきわめて大きい」と指摘しています。

ワクチン開発は基礎研究・動物実験→第1相臨床試験(治験)→第2相臨床試験→第3相臨床試験を経て安全性・有効性を確認していき、実用化まで最低でも数年かかるものです。ところが新型コロナのワクチンでは、それを1年弱で承認・実用化しようとしています。

そのために多くの国は必要な審査を省略しています。日本政府も「並行実施」や「特例承認」を認めています。「特例承認」というのは、外国で認可されれば日本でも認可するというやり方です。

ワクチンに副作用はつきもので、中でも免疫のところで触れた「抗体依存性感染増強」(ADE)が危険です。SARSとMERSのワクチン開発では、動物実験でADEが発生し、いまだにワクチンができていません。

新型コロナワクチンが危険であるもう一つの理由は、その多くが従来タイプとは異なる新タイプのものだからです。

インフルエンザのワクチンなど従来のワクチンは、ウイルスやウイルス様タンパク質(抗原)を体内に入れ、人工的に抗体(ウイルスを攻撃するもの)をつくらせるものです。

これに対して、「新型バイテクワクチン」と呼ばれている新タイプは、新型コロナウイルスの遺伝子情報の一部をワクチンとして投与するものです。それによって抗原をつくらせ、その抗原の作用で抗体をつくらせようというものです。ヒトの体をワクチン製造装置にする方法と言ってもいいでしょう。

こうしたワクチンを接種することは、「人間の遺伝子組み換え」であり、「人間の遺伝子改造」につながるものです。

このようなワクチンが実用化され、何億という人たちに接種されれば、これまでに経験したことのないような副作用が発生する可能性があります。アレルギーや過敏症、自己免疫不全などをもたらす可能性があるのです。

新タイプのワクチンでは「有効性」にも疑問があります。ファイザーは有効性が90%と発表しています(最新の発表では95%)が、これはワクチンの接種を受けた人の90%が発症しないという意味ではありません。

有効性とは、「接種した人たち」が「接種しなかった人たち」に比べ、どれだけ発症(曝露)を防ぐことができたかを示す数値です。

この計算では、接種しなかったにもかかわらず発症しなかった人が無視されています。新型コロナの場合はこうした人が非常に多く、ワクチンの効果はきわめて限定的なのです。

新タイプのワクチンには他にも難点があります。たとえばファイザーのワクチンは、マイナス70度での輸送・保管が必要です。

ワクチンに関してまとめると、@予防接種は致死率の高い感染症に有効だが、新型コロナはそのような感染症ではない、Aしたがって、重症化リスクの高い人や希望者が接種すればよく、国民全員にする必要はない、Bところが接種が努力義務になり、推奨されると、接種しないことを許さない風潮になる可能性が大きいので、任意接種にすべき、ということになります。

X 10年前にどんなことが起きていたか

ここで約10年前に起きた「新型インフルエンザパンデミック」を振り返ってみましょう。

2009年4月、メキシコと米国で豚インフルエンザ(後に新型インフルエンザに改称)のヒトへの感染が確認されました。WTOは5月に警告段階の基準から症状の重さや致死率の高さを削除するという改定をしたうえで、6月に最高段階である「フェーズ6」(パンデミック)を宣言しました。

WHOは新型インフルエンザについて「感染者のほとんどは症状が軽く、治療なしで1週間以内に回復する」と公表していたのですが、世界のメディアは大げさに騒ぎ立てました。

感染者は秋以降に拡大しましたが、2010年になると季節性インフルエンザと変わらないものとなり、WTOは6月に「深刻な時期を脱した」と発表、8月には事実上の終息宣言をしました。

一時は先進国で100万人死亡との予測も発表されましたが、WHOが最終的に確認した世界の死者は約1万8500人でした。季節性インフルエンザの死者が25〜50万人であるのに比べてはるかに少なかったのです。

日本政府は2009年4月、高病原性であることを想定し、水際対策・発熱外来設置・全数調査などを開始。5月には兵庫県・大阪府の高校生を中心に感染が拡大して、兵庫県が緊急事態宣言を出すほどの騒ぎになりました。しかし6月には新型インフルエンザがさほど危険性のある感染症ではないことが明らかになり、季節性インフルエンザと同じ扱いとなりました。

感染者は気温が下がり出した9月から急増しましたが、11月には減少に転じ、2010年1月には落ち着き、やがて季節性インフルエンザになりました。感染者は推定約1300万人、死者は206人でした。

この新型インフルエンザに際しWHOや各国政府は治療薬とワクチンをどう扱ったでしょうか? 

WHOはタミフルを推奨しましたが、後年の調査ではタミフルとリレンザの効果は不明とされています。各国はワクチンの確保に懸命になり、巨大製薬企業と購入契約を結びましたが、その多くは使われませんでした。

たとえばフランスでは9400万回分の購入契約を結びましたが、5000万回分をキャンセル、2500万回分を廃棄しています。同国の死者は312人でした。

日本では、政府がタミフルを大量に備蓄しましたが、結局は不要でした。また国産ワクチンを5400万回分(210億円)購入しましたが、3100万回分を廃棄しています。輸入ワクチンは9900万回分を契約し、6700万回分(853億円)を購入しましたが、ほとんどを廃棄することになりました。

当時、政府の諮問委員会委員長だった尾身茂氏はワクチンが余った理由について「欧米と違って感染拡大が抑制でき、成人の感染が少なく、必要性が感じられなかった」と語っています。

WHOは2011年、ヨーロッパを中心に47カ国で使われたグラクソ・スミスクライン(GSK)社のワクチンの副作用について発表しました。接種を受けた子どもや若者にナルコレプシー(突然睡眠状態に陥る病気)が発症しているとの報告が12カ国からあったという内容です。ただ、ワクチンが原因だとは断定できないとしています。

日本では国産ワクチンが約2200万回接種され、2428件の副作用報告がありました。うち重篤が416人、死亡が133人でした。ですが、副作用と厚労省に認定されたのは11年に76件、12年に23件などでした。

ところで、WHOはどんな国際機関でしょうか。2018〜19年予算の拠出金の内訳を見ると、米国が14.7%、ビル&メリンダ・ゲイツ財団が9.8%、GAVIアライアンス(ゲイツ氏主導で設立された、途上国へのワクチン普及を進める国際組織)が8.4%、英国が7.8%などとなっています。世界へのワクチン普及を進めるビル・ゲイツ氏や製薬企業の影響力が強いことがうかがわれます。

そのWHOの主導で各国政府が争うようにワクチン確保に走り、大量を廃棄しました。その陰で巨大製薬企業が巨額の利益を上げたのです。

いま、世界を震撼させた新型コロナパンデミックの経過をたどると、当時と重なるところが多いのに驚かされます。多くの国が同じ過ちを繰り返そうとしているのでしょうか。

Y どう対処したらよいか

ウイルスを含めた微生物は30億年前に出現しています。ホモ・サピエンスの歴史はたかだか20万年です。ヒトのDNAの半分以上はウイルス由来であり、人類はウイルスが他の生物の遺伝子を移し入れることで進化してきました。人類はウイルスとの共生なしには生きていけないのです。

安倍前首相も菅首相も「新型コロナウイルスに打ち勝った証として東京オリンピックを開催する」と語っていますが、「ウイルスに打ち勝つ」という発想が間違っています。新型コロナウイルスをなくすことはできず、「共生」を目指すしかないのです。

私たちはどうしたらいいのか?

個人としてはまず、感染症への抵抗力(免疫力)をつけることです。そのためには、@筋肉と腸内細菌を豊かにする食事、A適度な運動、Bストレスの少ない生活、が大切です。食生活では高タンパクの食材と農薬・食品添加物の少ない食材を意識しましょう。

もう一つ、ウイルスや細菌を敵視する、過度な「清潔志向」を改めることも大切です。床に落ちた食べものを拾って食べれば、免疫力強化の一助になります。免疫力を低下させる抗菌グッズや除菌消臭剤を使うのはやめましょう。

社会では、公衆衛生軽視を改めることが必要です。日本の。医療・健康政策は1980年代に。感染症重視から生活習慣病(がん・循環器病・糖尿病)重視へ変わりました。保健所が縮小され、ワクチン漬けへと変わったのです。

しかし、グローバル化の進展とともに、新しい感染症が何年かおきに出現する時代になりました。保健所機能の再強化が必要です。

そして社会のあり方も変える必要があります。病気になったらゆっくり休める社会、高齢者にも優しい社会にしていくことが必要です。
2020年12月26日更新
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