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2015年06月

米国農務省の研究でネオニコチノイド系農薬は蝶にも影響
News from The Cornucopia Institute May 23, 2015より
米国農務省(USDA)は、オオカバマダラ(アゲハ蝶の一種)の減少とネオニコチノイド系農薬は関連があると発表。USDAの研究者たちはネオニコチノイド系殺虫剤のクロチアニジンが北米でのオオカバマダラの減少に影響があることを確認した。このUSDAの研究は、2015年4月3日に『サイエンス オブ ネイチャー』誌(オンライン版)で発表された。

彼らの実験で幼虫に1ppb(0.000001 mg/g)のごく微量の投与で大きさと重量に影響があった。致死量は15ppbであった。

研究者たちは農業環境では幼虫の毛虫が曝露する量はこのプロジェクトに設定される実験的な状況より大きいだろうことや他の農薬(他のネオニコチノイド系農薬を含む)にもさらされている点に注意が必要としている。

サウスダコタ州のコーン生産地帯のトウワタ(milkweed)の植物サンプルでは平均1ppb を超えるクロチアニジンを含んでいた。 (注:トウワタはオオカバマダラ幼虫の食草)

このレポートはネオニコチノイド系農薬がオオカバマダラの生存・繁殖に影響を与えるという最初のレポートである。

日本を含む世界的なミツバチの大量死の主要な原因と目されるネオニコチノイド系農薬は蝶も減らしているんですね。日本ではトンボもめっきり減った。育苗箱で使用されるネオニコ系農薬(イミダクロプリド 商品名アドマイヤー)が苗が移植された水田へ浸出して水田に生息するヤゴが減っているそうだ。

新たな知見が次々と積み重なっている。早く禁止に踏み切らねば「沈黙の春」が来てしまっては手遅れになる。加えてヒト、わけても幼い者の神経系統に及ぼす影響は見過ごしにできない。また農産物残留のみならず、水道水への影響が気に罹る。

しかし、日本は、行政が規制緩和にひた走る農薬企業天国だ。農水省は米のカメムシ防除農薬(ネオニコが主流)大量使用の元凶である、米の検査規格の見直しは拒み続けているし、厚労省はこのたび、問題のクロチアニジンなどの残留農薬基準の大幅緩和を告示した。ホウレンソウでは13倍(!)の緩和だ。
有機農業ニュースクリップの記事(2015.05.19)を以下に転載する。

厚労省は5月19日、ネオニコ系農薬のクロチアニジンとアセタミプリドの残留農薬基準を大幅に緩和した新基準の告示を官報に掲載した。13年秋の大幅緩和が1600件のパブコメで批判され、一度は取り下げたが、急性参照用量(ARfD)という新たな指標を食品安全委員会に諮問した。しかし、食品安全委員会の健康影響評価は、急性参照用量が加わっただけで、一日摂取許容量(AID)を見直さなかった。これを受けた厚労省は昨年秋、残留基準値をさらに緩和した焼け太りした基準を提案していた。

前回問題となった3ppmから40ppmに緩和されたホウレンソウがそのまま据え置きとなったばかりか、新たに16品目の基準値がさらに緩和された。今回のクロチアニジンとアセタミプリドの残留基準値の改定は、一部を除き、基準の緩和であったため即日発効した。

厚労省も食品安全委員会もないほうがまし!政治家はなにをしているんだ!と腹立たしい。憲法に規定された民主主義を踏みにじり、企業優先を露骨にする政権のもと、日本の行政の劣化は著しく、いまや目を覆うばかりの惨状を呈している。せめてもの抵抗として、また身を守るため、市販の農薬使ったホウレンソウはもう食べない、買わない、ボイコットです。

そして、農薬を使わないで食べものを生産してくれている有機農業者の存在に目を向けましょう。有機農業者を身近に求め、繋がっていきましょう!

日本の未来は有機農業にしかないと改めて思わされる今日この頃。
2015年06月23日更新
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