タイトル 「食政策センター・ビジョン21」主宰の安田節子公式ウェブサイト/
リンクは自由です(連絡不要)/お問い合わせは管理者まで

安田節子ドットコム

 

2012年06月

ブラジルでモンサント社の特許乱用
モンサント社が開発、販売する除草剤「ラウンドアップ(Roundup)」への耐性を持っている遺伝子組み換え(GM)大豆はブラジルでは2000年代までは国内での使用が禁じられていたが、隣国アルゼンチンから密輸されたものが持ち込まれ、混入が広がるなかでその後政府は使用禁止の規制を解いた。

ブラジルの大豆生産量と輸出量は2011年、米国に次ぐ世界第2位だった。現在、GM大豆は生産されるブラジルの大豆の約85%(2500万ヘクタール分)を占めるまで拡大した。遺伝子組み換え大豆の主要輸出先は中国で、主に家畜飼料や大豆油、バイオ燃料などに使われる。その売上は241億ドル(約1兆9000億円)に上り、農産物輸出の26%を占めている。

しかし4年前、ブラジルの大小農家500万戸が、モンサントが売上の2%を不当に徴収しているとして、同社を相手取る訴訟を起こした。

モンサントは、2003〜04年以降、遺伝子組み換え大豆を使用する農家に特許使用料として売上の2%を支払うよう要求している。これに対し農家側の弁護士らは、農家がモンサントに使用料を2度支払っていることになると反論。「種子を購入する際に代金を払っているし、農家が自家採種する権利は法が保障している。(再度)支払いが必要だなんて世界中どこにもない。農家は民間会社に税金を徴収されているようなものだ」と語る。

4月にブラジル南部リオグランデドスル(Rio Grande do Sul)州の裁判所は、農家側の主張を認め、モンサントに2004年以降の特許使用料、最低20億ドル(約1600億円)の返金を命じた。これに対しモンサント側は上訴、裁判所の判断は2014年までに下される予定だが、最終判断が出るまでは特許使用料を要求し続けるとモンサントは述べている。(以上情報出典6月4日 AFPより)

モンサントはGM大豆の特許権として、種代に特許料を上乗せするだけでなく、自家採種の禁止も要求している。ブラジルでは自家採種は法で保障された農民の権利であるため、自家採種を続ける農家に対し、モ社は収穫物の売り上げから取り立ててきたのだろう。

しかし、モ社が米国で通用させてきたこのような特許権はこれまでの歴史、また社会的にもあり得なかったものだ。種は子孫を残すために増殖するが、その増殖する子孫もすべて自分の権利が及ぶという考えは強欲で行き過ぎで倫理に反する。

TPP(環太平洋パートナーシップ協定)では「知的所有権の強化」という項目があるが、これはモンサントに都合のよい米国の特許基準を加盟国に押し付けることになるだろう。(いのちの講座75号 (2012年6月27日発行)より)
2012年06月27日更新
▲最上部へ戻る
FMラジオ出演のお知らせ
2012年6月24日(日)9:20〜9:50に、J-WAVE(81.3FM)『HAPPINESS』(パーソナリティ 富永愛)にて、「いま、子どもの食べものの安全は」と題して放射能問題を解説いたします。受信できる方は、ぜひご視聴いただけたらと思います。
2012年06月22日更新
▲最上部へ戻る
[HOME]>[節子の鶏鳴日記]>「2012年06月ログ」

YasudaSetsuko.comAll rights reserved.