タイトル 「食政策センター・ビジョン21」主宰の安田節子公式ウェブサイト/
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安田節子ドットコム

 

2012年05月

TPP映画祭
6月1日から渋谷のアップリンクで「TPP」をテーマに一連の映画が上映されます。

グローバリゼーションが目指すものは畢竟、多国籍企業の利益の最大化。「自由貿易」の「自由」とは企業の自由。それが正体ではないでしょうか。

6/5 19:00〜『フード・インク』上映後のトークに料理研究家・枝元なほみさんとの対談で私安田節子も出演します。


■IMAGINE after TPP
〜未来について、映画を通して一緒に考えよう、わたしたちの暮らし〜
2012/6/1(fri)〜 6/5(tue)

この度、アップリンクでは、参加の是非が問題となっている「TPP」をテーマに映画を上映し、多角的にアプローチし、知識を深めてもらう機会とし「IMAGINE after TPP」を下記日程で企画いたしました。TPP参加後のわたしたちの暮らしがどう変わるかを、多くの人々と意見交換、知識を深める機会になればと思います。
小さな会場のため、ご予約をおすすめしています。


6/1 19:00〜 プレミア上映!『モンサントの不自然な食べもの』 マリー監督トーク付き★
6/2 11:00〜『お米が食べられなくなる日』 トークゲスト(監修・大野和興さん)★
6/2 12:30〜『シッコ』トークゲスト(民医連会長・藤末 衛さん)★
6/2 16:00〜TPP TABLE TALK TPPをもっと知ろうワークショップ
6/2 17:30〜『外泊 トーク付き』
6/2 19:30〜『幸せの経済学』
6/3 10:30〜『幸せの経済学』トークゲスト(「減速して生きる」著者・高坂勝さん)★
6/3 13:00〜『シッコ』 トークゲスト(ジャーナリスト・岩上安身さん)★
6/3 16:30〜『フード・インク』 トークゲスト(大地を守る会・戎谷徹也さん)★
6/3 19:30〜『ブルー・ゴールド:狙われた水の真実』
6/4 19:00〜『モンサントの不自然な食べもの』(サステナ・マエキタミヤコさん)★
6/5 19:00〜『フードインク』(食政策センター・ビジョン21代表・安田節子さんと料理研究家・枝元なほみさんの対談)★

共同企画:太平洋資料センター(PARC) 協力:国際有機農業実行委員会
公式ホームページ

●TICKET
★印トーク付き上映料1500円 上映のみの回1000円
3回券 3500円(ワークショップでも使えます)

●場所
アップリンク

TPP映画祭の目玉!
プレミア上映の『モンサントの不自然な食べもの』とは?

TPP参加に揺れる日本、経済のグローバル化によって日本の食卓の豊かさが失われる?食糧市場を支配する、脅威の多国籍企業「モンサント」の実態を追ったドキュメンタリー映画。

農業大国フランスで約150万人が観た本作は、「食」、ひいては「いのち」を支配し利益を追求する現在の経済システムについて、強い疑問を投げかけています。

そして作中に登場する各国の深刻な状況は、TPP締結後の日本の姿かもしれません。

『モンサントの不自然な食べもの』
監督:マリー=モニク・ロバン カナダ国立映画制作庁・アルテフランス共同製作(2008年/フランス、カナダ、ドイツ/108分/原題:Le monde selon Monsanto)
協賛:特定非営利活動法人アジア太平洋資料センター(PARC)、作品社


医療『シッコ』
アメリカでは、一度大病を患えば治療費が支払われずに病死か破産。先進国で唯一国民健康保険制度のないアメリカの医療保険の実態を描いたドキュメンタリー
監督:マイケル・ムーア(2007年/アメリカ/123分/カラー/ビスタ/ドルビーデジタル・SDDS提供・共同配給:ギャガ・コミュニケーションズ×博報堂DYメディアパートナーズ)


食の安全『フードインク』
食の市場を牛耳る企業の実態を浮き彫りにしアメリカの食品産業の現状を突きつける一作。大量消費と大量生産の裏側で農業や畜産業が巨大な生産工場と化していた。
監督:ロバート・ケナー
(2009年/アメリカ/カラー/94分/アメリカンビスタ/ドルビーデジタル提供:メダリオンメディア / 協力:カフェグルーヴ/配給:アンプラグド)


ひとつの解決方法『幸せの経済学』
ヒマラヤの秘境ラダックの姿を通して、本当の豊かさとは何かを説くドキュメンタリー。監督は、ローカリゼーション運動のパイオニア、ヘレナ・ノーバーグ=ホッジ。
監督:ヘレナ・ノーバーグ=ホッジ(2011年/68分/アメリカ/ニカラグア/フランス/ドイツ/イギリス/オーストラリア/インド/タイ/日本/中国/カラー/配給:ユナイテッドピープル)

日本の農業『お米が食べられなくなる日』
日本の米づくりを追い詰めてきたものは何か、秋田、山形、新潟、埼玉、岐阜、熊本、そして東京の生産と消費の現場を歩き、さらにはメキシコ、タイの農民の声にも耳を傾けながら、米づくりが持つ意味を考える。(2012年/35分/制作:アジア太平洋資料センター(PARC))

労働『外泊』
2007年に結ばれたFTA(自由貿易協定)によって労働の「規制緩和」が進められました。本作は、
非正規雇用の大量解雇に怒り、立ち上がった韓国女性たちの姿を追ったドキュメンタリー
監督:キム・ミレ(韓国2009/73分/日本語字幕)

公共サービス『ブルーゴールド 狙われた水の真実
ライフラインである水道が民営化になったらどうなるのか?世界で勃発している水戦争を考える
監督:サム・ボッゾ(2008年/アメリカ/カラー/80分/ビデオ/1:1.66/ステレオ 配給:アップリンク


●お問合せ:アップリンク 担当 松下TEL. 03-6821-6821
●予約方法 このイベントへの参加予約をご希望の方は、 (1)お名前 (2)人数 [一度のご予約で3名様まで] (3)電話番号
以上の要項を明記の上、 件名を「TPP日時/作品名」として、
factory@uplink.co.jpまでメールでお申し込み下さい。
お問合せ: アップリンク(松下・鹿野・山下) TEL: 03-6821-6821 / film@uplink.co.jp
2012年05月30日更新
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DVD「知っていますか?TPPの大間違い」のお知らせ

DVD「知っていますか?TPPの大間違い」(農文協 35分)
監修:鈴木宣弘(東京大学 大学院教授)
価格:8000円

TPPの推進論の間違いを、人形劇のボケに鈴木先生が「それは間違いです!」と鋭く突っ込みをいれて解説。学習会に最適。

プロローグ:TPPをめぐる「情報隠し」
第1部:TPPで暮らしが危ない
第2部:TPPで農業が危ない
第3部:大間違い「TPPで経済成長」

全国各地の現場に湧き上がる異論、反論の声も収録。私、安田節子のTPP講演の映像もちょっとだけ入っています。

参考:農文協のTPP反対特集ページ

問合せ:(社) 農山漁村文化協会 編集局
現代農業・映像グループ 武田典之
Tel.03-3585-1146 Fax.03-3585-6466
takeda@mail.ruralnet.or.jp
2012年05月23日更新
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いま、そこにある危機 “使用済み核燃料”!
原発が構造的に抱える危険は通電が止まるだけで、冷却水を失うだけで、燃料の冷却不能という致命傷になることだ。圧力容器のなかの核燃料だけでなく、防御容器の外にある“使用済み核燃料”も同様だ。

爆発が起こり使用済み核燃料プールが傾いた福島第一原発4号機は東電がプールの底を支え棒で応急処置したに過ぎない。大地震が来れば建屋やプールの崩壊、いやプールにひびが入っただけでも冷却水喪失となる。地震が襲わないことをただ祈るしかない綱渡り状態にある。

『4号機の核燃料プールは、今も日本列島を物理的に分断するほどの力を持っています。震災時、このプールには炉心数個分もの使用済み核燃料が入っていたのです。大気圏内で行われた過去の核実験で放出された総量に匹敵するほどの、放射性セシウムが眠っています。…まさに「格納されていない炉心」です。今は水で冷やしていますが、プールにヒビが入るなどして水位が下がり、冷却できなくなると、温度が上がって燃料棒の鞘であるジルコニウム合金が発火するのです。こうなると、もはや水では消火できない。核燃料が大気中で燃えるという、人類のだれも経験したことはない、おそろしい状況になるのです。…科学にとって未知の大惨事になります。』(ガンダーセン博士 週刊朝日2012年3月16日号『福島原発4号機 プールのヒビ割れだけでも人類史上最悪の事態に』)

『(4号機の)燃料プールに保管されている燃料は、原子炉内部の通常の2〜3倍の量があり、溶け出してしまうと、その避難範囲は250km以上になります。』(小出裕章氏1月9日)
 4号機プールの燃料溶融が起これば、その強い放射能により第1、2、3、5、6号機もすべてが人が近づくことができなくなり、抑制不能となる。そうなったら、福島県全域はもとより、東北、関東圏は避難脱出地域となる。

2012年3月22日、参議院予算委員会公聴会で、公述人として意見を述べた村田光平氏(地球システム・倫理学会常任理事 元スイス大使)は、4号炉の燃料プールの危機のみならず、『1号から6号、共有のプールがございまして、それは4号機から50メートル離れたところでございますが、そこに、なんと6375本の燃料棒が収められていると、いうことであります。まさに、この4号機が事故を起こせば、世界の究極の破局の始まりと言えるわけであります。それにも関わらず、嘆かれるのは、危機感の欠如であります。』と指摘されている。

 政府によると、福島4号機の燃料プールからの燃料棒の移動作業開始は早くても2013年末という。

村田氏は「福島事故で、もうひとつ立証されたことは、いかに原発は核テロが容易であるかと、水と電気を止めればいいと。そして、防護されていない冷却燃料プール、これさえ襲えばいいと。そういう事実を世界に知らせてしまったということで、核保有国に取りましても、核廃絶は重要な、実質的な動機を与えられたということでございます。」と指摘。

福島事故を受けて世界は核廃絶に転換せざるを得ないところに来ているのだ。一方日本政府は北朝鮮の「ミサイル」発射実験の危機をあおって大規模な軍事配備を展開したが、まっとうに国防のため脅威を取り除こうというなら、なにはさておき全原子炉の廃炉と核燃料を取り出す作業を急がなければならないはず。それどころか再稼動に前のめりとは、国防が聞いてあきれる。

また、村田氏は加えて六ヶ所村の再処理工場*が日本から世界の究極の破局をもたらし得るものと指摘。(*:再処理工場とは、全国の原発から出た使用済み核燃料からウラン、プルトニウム(核燃サイクルの燃料)を取り出すためのもの。残りの高レベル廃液には使用済み燃料中の放射能の99%以上が含まれ、極めて毒性が強く、崩壊にもとづく発熱量はものすごく大きい。半減期の長い放射能が多く、毒性がいっこうに減らず、発熱し続ける。放射線により水が分解され、水素ガスが発生する。廃液には崩壊熱による突沸、水素ガスの爆発、その他の化学爆発の危険がつきまとう。抽出されずに残ったプルトニウムの臨界爆発の危険性もある。廃液は常に冷却し続けなければならないのだ。1958年、旧ソ連のウラル・キシュチムの爆発事故、80年4月のフランスのラ・アーグ再処理工場の火災事故はこうした危険の防止がいかに困難であるか、いったん事故が起きればどんな悲劇を招くかを我々に教える。)

ラ・アーグ再処理工場であわや大惨事という事故が起きていた。この事故について、広瀬隆氏は著書「東京に原発を!」で次のように指摘している。「再処理工場が大爆発を起こすと、どうなるだろう。これは要するに、原子力発電所を百基とか一千基とか束ねて、それが同時にメルトダウン→ガス爆発(または核爆発)の経過をたどるもの、と理解してよい。西ドイツのレポートによると、万一冷却装置が不能になると爆発によって工場の周囲百キロの範囲で、全住民が致死量の十倍から二百倍の放射能を浴びて即死・・・最終的死亡者の数は、西ドイツ全人口の半分にのぼる可能性がある、というのだ。このレポートが西ドイツのケルン原子炉安全研究所から内務省に提出されたのが一九七六年七月、いまから十年以上も前のことであるから、その当時より原子炉の数も規模もずっと大きくなっている今日では、蓄えている死の灰が桁違いに大きく、「致死量の及ぶ範囲は一万キロを超える」というのが定説になっている。地球の一周が四万キロだから、前後左右に一万キロの範囲をカバーすると、地球の半分を覆いつくす範囲の人間が死んでしまう。ラ・アーグの再処理工場から一万キロの円を描くと、人類のほとんどがこの世から姿を消す。… 一九八〇年代にフランスで起こりかけたのである。火災発生と同時に、フランスの大統領ジスカールデスタンが完全な報道管制を命じた。・・・フランスのラ・アーグ再処理工場では、放射性廃液が沸騰し、全世界が死滅寸前の重大事に直面していた」

この事故は人為ミス(ヒューマンエラー)で引き起こされた。送電線の不具合で停電が起こったが、当然備えていた自家発電機で主電源を回復。ところが自家発電機のスイッチを切らなかった!そのため巨大な電圧が両方から作用し、主電源のトランスが破壊され、自家発電機も完全にストップした。これがすべての電源であったため、冷却すべき放射性廃液が沸騰し火災が発生した。たまたま近い距離にフランス軍の兵器庫があり、偶然にも、そこに緊急発電装置があったという幸運によって人類滅亡が避けられたのだ。六ヶ所再処理工場も同じ危険性を内包している。いくつもの事故続きで本格稼動は先延ばし状態にある。きっぱり中止するべきものだ。

村田氏の発言「いかに現在、日本そして世界が危機的状況に直面しているかということであります。人間社会が受容できない、この原発のもたらしうる惨禍のリスク、これをゼロにしなければならない、と私は福島事故は全世界に想起させつつあると信じております。そして、このような事故を体験しながら、なお脱原発に躊躇するというのは倫理の欠如という誹りを免れないと、私は考えております。特に、この処理方法がいまだに発見されていない核廃棄物、これに象徴されるのは、今の世代の倫理の欠如と言えると思います。」「福島4号機の危機的状況、再処理工場の恐ろしさ、こういったものについて、ぜひ必要な危機意識を持って、これからその対処に、急いで、緊急に、もっと国が責任を持って、対処、対応できるような体制づくりに、ぜひご尽力いただきたいと思います。」 

村田氏は、いまそこにある危機を想像しようとしない、危機意識を欠いた政府(官僚、マスコミも)が災禍を招くまえにと満身の訴えをされている。

想像力の欠如は倫理感の欠如につながるのだろう。日本政府の姿勢にみられる最も深刻な事態はまさに倫理の喪失。これをいったいどうしたらよいのだろうか。(「いのちの講座」74号巻頭言より)
2012年05月14日更新
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