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2011年09月

福島県郡山で提訴された学童の集団疎開を求める裁判はいよいよこの10月に判決が出ます。
東京新聞、10月17日朝刊の「こちら特報部」の「郡山集会ルポ」
東京新聞、10月17日朝刊の「こちら特報部」の「郡山集会ルポ」


ふくしま集団疎開裁判
最終段階を迎えた「ふくしま集団疎開裁判」 子どもたちの集団疎開の決定を求める署名のお願い  あなたの声を福島地方裁判所郡山支部に届けます。
PDF・WORD署名用紙、 オンライン署名リンク

人口の多い郡山市、福島市などで高濃度の汚染地が見つかっています。

裁判のために陳述書を書かれた矢ケ崎克馬氏はチエルノブイリ汚染地図と比較しチェルノブイリ避難基準に相当する地区が点在することを指摘しています。

以下は空間線量率・土壌中放射性セシウム量を付した最新データ地図です。赤色が強制移住区域、黄色が移住権区域。
郡山市汚染マップ(PDF)
福島市汚染マップ
二本松市汚染マップ(PDF)
伊達市汚染マップ(PDF)
中通り汚染マップ(但し、強制移住地域相当のみ)

また、10月中に結審を迎える疎開裁判に向けて市民のアピールデモを(9月15日に)郡山市で行います。全国からのご参集を! 10.15郡山集会&デモ チラシ完成版(表裏)(PDFファイル)
2011年09月30日更新
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9.19 われらも静かに怒りを燃やす鬼になって
明治公園で開催された「9・19 さようなら原発5万人集会」に参加しました。福島から参加した人々が持つ「怒・福島隊」の幟旗の「怒」の文字が目に焼き付き胸に迫りました。通行の邪魔をして道路を塞ぐ警察車両の上に立つ警官も圧倒的人の数に困惑顔。6万人いや7万人以上のかつてない数の人々で埋め尽くしたのです。これが民意なのです。なんと力づけられたことでしょう。

呼びかけ人の、内橋克人さん、大江健三郎さん、落合恵子さん、鎌田慧さん、澤地久恵さんがそれぞれ簡潔で感銘深いスピーチをされました。地球の友ドイツ代表の方の力強いスピーチもありました。
発言要旨が以下にまとめられています。
登壇者の発言要旨

以下は最後にされた「ハイロアクション福島」武藤類子さんの胸に迫るスピーチです。
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 みなさんこんにちは。福島から参りました。

 今日は、福島県内から、また、避難先から何台ものバスを連ねて、たくさんの仲間と一緒に参りました。初めて集会やデモに参加する人もたくさんいます。

福島で起きた原発事故の悲しみを伝えよう、私たちこそが原発いらないの声をあげようと、声をかけ合いさそい合ってこの集会にやってきました。

 はじめに申し上げたい事があります。

 3.11からの大変な毎日を、命を守るためにあらゆる事に取り組んできたみなさんひとりひとりを、深く尊敬いたします。 それから、福島県民に温かい手を差し伸べ、つながり、様々な支援をしてくださった方々にお礼を申し上げます。ありがとうございます。

 そして、この事故によって、大きな荷物を背負わせることになってしまった子供たち、若い人々に、このような現実を作ってしまった世代として、心からあやまりたいと思います。本当にごめんなさい。

 皆さん、福島はとても美しいところです。東に紺碧の太平洋を臨む浜通り。桃・梨・りんごと、くだものの宝庫中通り。猪苗代湖と磐梯山のまわりには黄金色の稲穂が垂れる会津平野。そのむこうを深い山々がふちどっています。山は青く、水は清らかな私たちのふるさとです。

 3.11・原発事故を境に、その風景に、目には見えない放射能が降りそそぎ、私たちはヒバクシャとなりました。大混乱の中で、私たちには様々なことが起こりました。

 すばやく張りめぐらされた安全キャンペーンと不安のはざまで、引き裂かれていく人と人とのつながり。地域で、職場で、学校で、家庭の中で、どれだけの人々が悩み悲しんだことでしょう。 毎日、毎日、否応無くせまられる決断。

 逃げる、逃げない? 食べる、食べない? 洗濯物を外に干す、干さない? 子どもにマスクをさせる、させない? 畑をたがやす、たがやさない? なにかに物申す、だまる? 様々な苦渋の選択がありました。

 そして、今。半年という月日の中で、次第に鮮明になってきたことは、

 ・真実は隠されるのだ
 ・国は国民を守らないのだ
 ・事故はいまだに終わらないのだ
 ・福島県民は核の実験材料にされるのだ
 ・ばくだいな放射性のゴミは残るのだ
 ・大きな犠牲の上になお、原発を推進しようとする勢力があるのだ
 ・私たちは棄てられたのだ

 私たちは疲れとやりきれない悲しみに深いため息をつきます。 でも口をついて出てくる言葉は、「私たちをばかにするな」「私たちの命を奪うな」です。

 福島県民は今、怒りと悲しみの中から静かに立ち上がっています。子どもたちを守ろうと、母親が父親が、おばあちゃんがおじいちゃんが……自分たちの未来を奪われまいと若い世代が……大量の被曝にさらされながら、事故処理にたずさわる原発従事者を助けようと、労働者たちが……土を汚された絶望の中から農民たちが……放射能によるあらたな差別と分断を生むまいと、障がいを持った人々が……ひとりひとりの市民が……国と東電の責任を問い続けています。そして、原発はもういらないと声をあげています。

 私たちは今、静かに怒りを燃やす東北の鬼です。私たち福島県民は、故郷を離れる者も、福島の地にとどまり生きる者も、苦悩と責任と希望を分かち合い、支えあって生きていこうと思っています。私たちとつながってください。私たちが起こしているアクションに注目してください。政府交渉、疎開裁判、避難、保養、除染、測定、原発・放射能についての学び。そして、どこにでも出かけ、福島を語ります。今日は遠くニューヨークでスピーチをしている仲間もいます。思いつく限りのあらゆることに取り組んでいます。私たちを助けてください。どうか福島を忘れないでください。

 もうひとつ、お話したいことがあります。

 それは私たち自身の生き方・暮らし方です。私たちは、なにげなく差し込むコンセントのむこう側の世界を、想像しなければなりません。便利さや発展が、差別と犠牲の上に成り立っている事に思いをはせなければなりません。原発はその向こうにあるのです。

 人類は、地球に生きるただ一種類の生き物にすぎません。自らの種族の未来を奪う生き物がほかにいるでしょうか。私はこの地球という美しい星と調和したまっとうな生き物として生きたいです。ささやかでも、エネルギーを大事に使い、工夫に満ちた、豊かで創造的な暮らしを紡いでいきたいです。

 どうしたら原発と対極にある新しい世界を作っていけるのか。誰にも明確な答えはわかりません。できうることは、誰かが決めた事に従うのではなく、ひとりひとりが、本当に本当に本気で、自分の頭で考え、確かに目を見開き、自分ができることを決断し、行動することだと思うのです。ひとりひとりにその力があることを思いだしましょう。

 私たちは誰でも変わる勇気を持っています。奪われてきた自信を取り戻しましょう。 そして、つながること。原発をなお進めようとする力が、垂直にそびえる壁ならば、限りなく横にひろがり、つながり続けていくことが、私たちの力です。

 たったいま、隣にいる人と、そっと手をつないでみてください。見つめあい、互いのつらさを聞きあいましょう。怒りと涙を許しあいましょう。今つないでいるその手のぬくもりを、日本中に、世界中に広げていきましょう。

 私たちひとりひとりの、背負っていかなくてはならない荷物が途方もなく重く、道のりがどんなに過酷であっても、目をそらさずに支えあい、軽やかにほがらかに生き延びていきましょう。

2011年09月22日更新
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放射能に関する読者からの質問と回答
放射能汚染の問題で心配しています。

京都では8月16日の送り火に陸前高田市の松を燃やす問題で、さまざまな意見が聞かれました。「『放射性』がれき焼却」の受け入れ問題も起きました。学習会に参加してみましたが、「環境省の『10万ベクレル以下』という数値はダメだけど、100ベクレルなら、受け入れなくては……といった話し合いでした。

原発被災地の子どもたち、全ての人たちのことを思うと本当に心が痛むのですが、それでも25年経った現在のチェルノブイリ(YouTubeでジャネット・シェルマン博士やキエフ小児癌病院の報告をみました)を思うと、25年後に孫たちの時代に同じことが起こるのではないかと心配になります。

また、ある人たちは「フクシマがこうなったのは、自分たちが原発を止められなかったからだ。フクシマを応援するために、50代以上の私たちはフクシマの食品を食べましょう」と言われました。私は小学生の孫たちを含む家族の食事を作っているし、納得もできていないので無理なのですが。それで質問です。

質問1. 放射能汚染されたがれきを燃やすと、どれくらいの空気・土・水への汚染の影響がでると思われますか?何ベクレルくらいなら妥協できると思われますか?


放射能汚染されたものを燃やすとその灰にも、空気中にも放射性物質が広がります。汚染されたものは燃やさず、管理できるところで、保管、埋設するしかありません。対策としては、できるだけ移動拡散させずに閉じ込めることです。人工放射性物質はこれ以下なら安全という閾値は存在しません。


質問2. フクシマなどの放射能汚染された食品を50代以上の大人が食べると、その排泄物から下水道などを通して、放射性物質が拡散されるということはありませんか?東京都の下水道から高い汚染がみられたと聞くのですが……。


何歳であろうと放射性物質による内部被ばくは避けるべきです。

引き起こされる健康障害はガンだけではありません。ガンになる前に免疫不全や心臓病、白内障、精神疾患など、さまざまな健康障害が引き起こされるからです。

汚染のある食品を流通させない対策をとるのが政府に求められる最優先の責務です。消費者もその原点を忘れずに、暫定基準値以下ならとか、50歳以上は食べるという選択はありえないと私は思っています。

なお、下水処理施設では高濃度の汚染汚泥が問題になっています。汚染食品を食べたら排泄物にも当然出ますから下水汚染につながるでしょう。もっとも現在のところは環境中の排水の汚染が大きいかもしれません。いずれにしても下水処理場は放射能の管理区域同様の対策が働く人達の安全確保も含め必要です。


質問3. ヒマワリなどは放射性物質をよく吸収するそうで、ヒマワリを植えた写真を目にしましたが、そのヒマワリの処理(枯れた後)では放射能は大丈夫だと思われますか?


放射性物質を吸収した植物体は放射性廃棄物といえます。ですからその処理が問題です。燃やしてはいけないので、おそらく発酵処理して嵩の減らした残滓を放射性物質として管理するしかないでしょう。ヒマワリは嵩が大きいので処理が大変と思いますが。(なお、ヒマワリの栽培試験では除染効果はほとんどなかったそうです)
2011年09月15日更新
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