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2011年05月

放射能汚染と農業
耐用年数(約22年)を18年間も延長、稼動させてきた東電福島の老朽原子炉群は地震で受電鉄塔が倒壊、補助電源も津波で失って全電源喪失となり、核燃料が冷却不能に陥り炉心溶融が起きた。3月12日に1号機の水素爆発、14日に3号機、15日に4号機でも爆発と火災が起きて建屋は吹き飛び、放射能を放出し続けている。

3月15日の福島県内での放射性物質飛散量が最高で基準値の1千万倍に達し、都内でも16日夕刻にかけて基準値の100万倍を記録した。4月13日には福島県内で、プルトニウムと同じく、極めて毒性の強い放射性ストロンチウムが検出されたという。現在注水して核燃料の温度上昇を留めようと決死の作業が続いている。

しかし、これはひび割れた格納容器に水を入れ続けるしかない作業で安定的冷却はめどが立っていない。余震が頻発するなか、水素爆発の可能性も否定できず、そうなれば隣接する原子炉群はともに崩壊し、残っている大量の放射性物質が一気に放出されて東北、関東一円は人の住めないところとなる。核エネルギーは人の手には負えない地獄の業火なのだ。

放射能が大地も海も大気も水も食べ物も汚染し続けている。見えず、臭わず、味もしない最強の毒物、放射能の恐怖。基準値を超える作物や魚が出荷停止になり、そのほかは安全ですと言われても、汚染の見つかった産地のものはどれも売れないから、スーパーの店頭から姿を消している。

農家の苦悩は深い。東電本社前の抗議行動に参加した農家は言う。『私たちは、安全が「担保」されていない状況で物を作っていいのだろうかと毎日揺れています。消費者の過剰な反応を風評被害だといいますが、いま現実に起こっていることは、根も葉もない風評ではありません。東電が起こした原発事故による放射能が大地と作物を汚染している実害です。風評被害で片付けることは、消費者に責任をなすりつけ、東電を免罪することです。心ある方々から福島の産品を買い支えたいという申し出がきます。こういうみなさんに、私はこう答えています。「お気持ちはうれしい。でも、みなさんにお願いしたいのは、東電はあらゆる損害をすべて補償せよという世論を消費地で起こしてほしい」と』。

全原発の停止を発令、放射能汚染した土壌は除染できるまで政府管理としその間の遺失費用は東電が所有者に支払い、暫定値以下でも汚染作物は市場価格で東電がすべて買い取る。直ちに非汚染地域に作付けの拡大と目一杯の増産を指令する。減反を廃止する。汚染地帯からの畜産、酪農を含む農家の移住、農地の手当てを図る。移転関連費用は東電に請求。1mSv/年以上の汚染地住民の移住を指令。私が総理だったら即刻そうする。それが政府のやるべきことだから。(「いのちの講座」69号巻頭言より転載)
2011年05月08日更新
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