タイトル 「食政策センター ビジョン21」主宰の安田節子公式ウェブサイト/
リンクは自由です(連絡不要)/お問い合わせは管理者まで

安田節子ドットコム

 

2007年08月

モンサントの特許を米特許商標庁が無効決定!

(新庄水田トラスト モンサントの特許を米特許商標庁が無効決定より)
 ニューヨーク - 2007年7月24日 --
 モンサントの遺伝子組み換え作物に関する主要4特許の無効を米特許商標庁が決定したことを、米国の非営利特許監視団体『公的特許財団』(PUBPAT)が本日発表。これらの特許は、昨年 PUBPATが異議申し立てを行ったものです。
 というのも、農業化学大手のモンサント社がこれらの特許を利用して、米国の農家に対していやがらせや脅迫、訴訟を行っていた ーそして時には農家を破産に追い込んでいたーからです。
 各特許の不認可を記した拒絶理由通知書の中で米特許商標庁は、同庁検査官が特定した先行技術の他に、PUBPATによって提出された証拠を提示し、モンサントはそれらの特許に関して何の権利もないことを示しました。
 モンサントは、米国農家を相手どり、これら4つの特許に対する 何十もの特許侵害訴訟を起こしていますが、訴えられた農家の多くは充分な弁護士を雇うだけの資金を持っていませんでした。訴えられている犯罪というのは、次の年に撒くための種子を保存しておくという、農家が有史以来行ってきたことに対してでした。
 ある研究報告によると「モンサントは強引な調査と断固とした訴訟で、米国農家の農業のやり方を根本的に変えてしまった。それは、種子を貯え栽培する権利といった最古のものも含めた、米国内で数世紀にわたって、また世界中で数千年にわたって続けられてきた農業の実践と伝統の基盤に対する攻撃でしかなかった」。
 モンサントが米国農家を相手取った裁判には、モンサント対ミッチェル・スクラッグスおよびその他の裁判459 F.3d 1328 (Fed. Cir. 2006)やモンサント対ケム・ラルフ 個人、およびその他の裁判82 F.3d 1374 (Fed. Cir. 2004)、そしてモンサント対ホーマン・マクファーリング裁判363 F.3d 1336 (Fed. Cir. 2004)などがあります。
 モンサントには特許商標庁による特許(米国特許No 5,164,316, 5,196,525, 5,322,938 と5,352,605)の無効決定に対して応答する機会が与えられてはいるものの、今回4つのモンサントの特許 に対してPUBPATが申請した事例のように、第三者機関による再検査の要請によって再審された特許のうち3分の2は変更、あるいは完全な削除が行われてきました。
 「モンサントが、米国農家を苦しめるために利用されたきたこれらの特許を、認可を受けるに値しないということについて、特許商標庁が私たちに同意したことに非常に満足しています」とPUBPATのダン・ラヴィシャー事務局長は言います。
 「今回の出来事が、家族経営の農家や多様なアメリカの食物供給を脅かすこれらの特許に対するモンサントの攻撃的な主張によって引き起こされている市民に対する危害の、『終わりの始まり』になることを期待します」
 米特許商標庁によるこれら4つのモンサント特許に対する拒絶理由通知書など、より詳細な情報はPUBPAT のHPMonsanto Anti-Farmers Patentsで見ることができます。

 特許がかかった種子を勝手に保存したり、隣人と種子を交換する農家は犯罪人扱いとする種子の囲い込みと私有化はGM生産を行っている北米大陸に留まりません。TRIPs協定(知的所有権の貿易関連の側面に関する協定)が発効して以降、世界ルールとして各国の種苗法を改変させる圧力となっています。
 生存に不可欠な水や種子、基本的医薬品が開発費用を負担したという理由で企業が私有化する権利を認めさせています。それはマージナルな弱い立場の人たちを困窮させています。
 経済活動は本来「経世済民」(世の中を治め、人民の苦しみを救うこと)、つまりすべての人に幸福をもたらすことを目的とするべきものではないでしょうか。それを目的としない、自己中心的な経済活動は社会に災いをもたらすことが日本でも露呈してきていますね。PUBPATの働きにエールを送り、私どももその活動に学んでいきたいと思います。
2007年08月14日更新
▲最上部へ戻る
[HOME]>[節子の鶏鳴日記]>「2007年08月ログ」

YasudaSetsuko.comAll rights reserved.