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2005年06月

■新潟組み換えイネ田植え差し止め訴訟6月24日提訴!
6月23日に、北陸センターの2回目の組み換えイネの田植えは6月29日とわずか1週間前に発表されました。

第1回目はいもち病などの耐性をみるとして開花前に穂は刈り取ると説明されていますが、今度は開花させ種子を取る目的の野外栽培です。

月末田植えに向けて急遽準備された差し止め仮処分を求める提訴は6月24日に新潟地裁高田支部で受理されました。地元の農家と消費者12名が原告となっています。

ごく短期間の間にそれこそ不眠不休で調べ上げ、専門家に尋ね、いくつもの実験の不備をつく申立書を弁護士さんたちが作っていくのを目のあたりにしました。

いもち耐性のイネは品種交配ですぐれた品種が現在作出されています。わざわざ不確実なGMイネの野外栽培試験をする必要性も有用性もありません。なによりも、そこからなんの利益も恩恵もあずからない、受けるのはもっぱら安全に安心して食することを脅かされるだけの消費者、経済的損失を蒙る可能性の高い農家、環境回復の不可能性、理不尽極まりない立場に置かれたものからの異議申し立てなのです。

これまで組み換えイネの野外栽培試験はいずれも反対運動で中止になりました。しかし、今回はなんとしても野外栽培を強行するという構えです。抗議の中、5月31日には一回目の田植えを強行しています。

6月8日つくばでの組み換えイネの野外栽培試験も地元反対を無視して強行されました。ここを突破口にしようとする国家意志を感じます。

主食のコメまで遺伝子組み換えが混じる事態が来るのを手をこまねいて許すのか、上越の試験場のこの田植えがその分かれ道となるでしょう。裁判支援の全国運動を展開していきます。ご支援をお願いします。

申立書にはGM技術固有の危険性・問題点を端的に指摘し、そのうえでGM事故固有の特質として(1)、予見不可能性 (2)、回復不可能性をあげ、それゆえ、我々が取るべき基本的態度として、「やってみないとわからない」と安易に野外実験を行うべきではないと述べています。読む価値のある内容です。ぜひ広めてください!


申立書は本裁判の弁護団公式サイト「GMイネNG裁判」にアップされています。
2005年06月28日更新
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<BSE>牛肉輸入再開を諮問 食品安全委の存在が問われている
 政府は、5月24日、米国とカナダ産牛肉の輸入再開の是非を食品安全委員会に諮問しました。早期再開を求める米国の圧力を受け、ついに国内手続きにかかりました。政府は輸入再開時期を9月ごろと見込んでいます。

 現在までに19頭のBSE牛が見つかっていますが、全頭検査によって国内の牛肉への不安はありません。全頭検査が食品安全を守るスクリーニング(ふるいわけ)の機能を果たしているからです。全頭検査によって21ヶ月のBSE牛の発見にも繋がりました。

 政府が20ヶ月以下の牛を全頭検査から除外するリスク評価を食品安全委に諮問したのは、米国からの輸入再開の道筋のためでした。それなのにリスクコミュニケーションでは政府も食品安全委もあくまで国内対策の評価であると説明し、リスクはかなり低いとの結論を出しました。

 しかし、この結論を待っていたかのように米国と日本政府は20ヶ月以下無検査にお墨付きという報道を繰り返しました。米国の牛については肉骨粉が豚・鶏にいまだ使用され、と畜方法、危険部位除去もずさん、BSE陽性の牛が見逃されている可能性、相当数の感染患者がアルツハイマーと誤診されている可能性などが報道されており、これらのデータ収集、情報分析を行なったうえで輸入の是非を評価すべきものでしょう。米国牛については、20ヶ月以下という線引きはまったく科学的根拠が存立しないのです。

 しかも月齢判別の個体管理ができていないことから肉質と軟骨の骨化の具合で20ヶ月以下を判別できるなどと、うさんくさい判別法を日本に飲ませました。プリオン専門調査会の山内一也委員、品川森一委員、金子清俊委員の3人の専門家は食品安全委を利用した政府の対応を強く批判し辞意を表明。消費者の安全を守るために、政治的思惑から独立した機関として出発したはずの食品安全委は今、その存在を問われています。

 ついでに一言。米国牛肉を食べなくてもちっとも困りません。いまも、これから先も。
2005年06月06日更新
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